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昼休み。
私はまた屋上に向かっている。

昨日の自販機事件のせいで当然気乗りはしないが、あの時うっかりお弁当箱をそのまま置いてきてしまったから取りにいかねばならないのである。
あの子が居たらどうしよう。謝る?受け取ってくれてありがとう?いやいやあんなことした人が話しかけたら逃げられるのでは……

とりあえずさっさと探して教室に帰ろう。

ぎい、と屋上への重い扉を開くと太陽の光がまぶしく差し込んで、わたしは思わず目を細めた。
もう夏は終わりに近づいているとはいえ、まだまだ日差しは強いし気温も高い。
こんな校内で最もよく日が当たるような場所に長居するわけにはいかないのだ。あの子に会ったら困るしさくっと見つけよう。

えーと、自販機のところから探すかな。
確かお弁当箱を持ったままジュースを買ったはず。

……あれ、ないや。
念のため下の隙間や陰になるところも探してみたけど、見つからなかった。

ああ、もしかしたらいつも座るベンチのところかも。
あ、ない。
……も、もしかしたら、気を利かせた誰かがどこかに移動してくれたのかも……!






「…………………ない」






隅から隅まで探した。ありえないとは思ったけどフェンスの向こう側まで見た。

「なんで……」

念のためもう一周してみたけどやっぱりない。心なしか屋上にいる人たちの視線が痛い。
昨日も今日も不審な行動してますもんね。
まずいまずいぞ、このままだと「屋上で不審な行動をする女」として学校の七不思議か何かになりかねない。

一回諦めて教室戻ろう。もう昼休みも終わりだし。来る前にお昼は食べてきたからその点は心配ないけど、次の授業の準備しないと、


「あっ」


そうだ次の授業当てられるんだった!ああああ宿題やってない!!急いで戻って誰かに写させてもらって……!!!!
ちらりと携帯を確認すると昼休み終了3分前。こここれは非常にまずい!!!


そして私は勢いよく扉を開け、教室へ走ったのであった。
屋上で今週3回目の不審な行動である。


















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