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昼休み。
いつものようにお弁当を持って屋上へ。
今日は何飲もうかな、いつもと違うのにしようかな、なんて考えながら、結局いつもの烏龍茶のボタンを押した。
人間というのは一度決めてしまえばなかなか変えられない生き物なのだ。革命を起こそうとしたってなかなかうまくいかないのだ。うーん、こんなところで人生を学ぶとは思わなかった。

がこん、と音を立てて取り出し口に落ちた缶を取り出して、自販機についている液晶画面に目をやる。
数字が揃えばもう一本!という宣伝文句がでかでかと書かれているこの機械。もう3年間ずっと、ほとんど毎日のように使っているのに、一度も当たったことがない。
よほど私の運が悪いのか、直前に使った人が当たったのか。それとも実は当たらない仕様なのか。とにかく何とも腹立たしい機械である。

ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴぴ。
スロットみたいに3つの数字がぐるぐる変わる。どうせ今回も当たらないと思っていてもついつい見つめてしまう。まったく単純な女だ。
7、7、……7。あー。いつも一瞬揃って、期待するとまた急に回りだすんだ。大変腹立たしい自販機で、あ…る……?

「えっ」

回らない。数字が。777で止まって、しかも点滅しはじめた。
ちょっと待って、これはまさか。

オメデトウ!オメデトウ!
数字が消えて、文字が流れる。続いて、ボタンを押してください、のメッセージ。
やっぱりそうだ、ついにやったのだ。毎日毎日期待して外れてがっかりして、でも今日ついに当たったのだ。自販機のスロットが。
ああ、感動で視界が滲んだ。さっきまではあんなに冷めた態度をとっていたのにな。つくづく単純な女だと、頭の片隅で思った。

…………しまった。当たった時のシミュレーションは何度もしてきたけど、何を飲むか決めてなかった。
わ、わ、やばい。このままだと時間切れになっちゃうんじゃないの?
ととととりあえず何か押さなきゃ、ああでも後で飲めないやつ押さないようにしなきゃ、えーとえーと、


「……あの、どうかしたんですか?」
「うえ!?」

急に声をかけられたから変な声が出てしまった。
見ると、私よりちょっと背の低い、まだ幼そうな顔立ちの、一年生?かわいいなー……

「っていやいやいやそんなこと考えてる場合じゃ…!」
「え?」

「きっ、きみ、好きな飲み物なに!?」
「え?なんすか!?」
「いいから!」
「えーと、コーラ」
「よし!コーラね!」

叩きつけるようにして、某大手食品企業のコーラのボタンを押した。

がっこん、と、いつもとちょっと違う音がして、取り出し口にペットボトルが落ちてくる。

「よ、よし!……っ、はぁ……」
「あの、大丈夫ですか?」

ほっと息をつく私の顔を、心配そうに覗きこむ後輩くん(仮)。

「ああああごめんなさい!スロット当たったんだけど、何押せばいいかわかんなくて、えええと、っと、」
「ちょ、とりあえず落ち着いてください」

「………っ!」

おそらく後輩であろう男子に、急に好きな飲み物を尋ねて自販機を叩いて息を切らす。しかも落ち着けと言われる。なんだこれ。
今までもこれからもないであろう(あってはならない)恥ずかしい行動を思い返して、全身の温度が急に上がった。

そして恥ずかしさが頂点に達した私は、

「これ!あげる!ごめんね!じゃあね!!!」
「ええ!?あの、ちょっと待っ……!」

コーラを後輩くん(仮)に投げ渡し、一目散に教室へとダッシュした。























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