≪番外編 トウヤ2―盗られたコイン―≫ 俺は賭けをする。 賭けに負れば彼女を守ることができ、勝てば彼女とまみえることができる。 俺はずっと、賭けに勝ったと思い込んでいた。 四天王の一人、ギーマはこうのたまった。 「勝負は勝ちや負けだけじゃない。引き分けもある。賭けも同じだ。頭上に放ったコインが盗られてしまったり、床の隙間に落っこちてしまうこともある」 「何が言いたいんですか」 「世界にいるのは君と愛しの彼女だけではないよ。それを知らなければ、勝負にもなりはしない」 「意味がわからないんですけど」 「運に身を委ねるだけでは、コインは手に入らないってことさ」 先輩勝負師の話は聞いておくものだよ、と彼は言った。 |