僕らは相似なのだ、と気が付いた。 髪型も、服装も、言動も、全く同じところはないけれど、 性別、瞳の色、歩んだ人生は面白いくらいに対照だ。 男として強くあろうとした僕は、あの事件を境に美しさを求めるようになった。 女として美しくあろうとしていた彼女は、あれから強さを求めるようになってしまった。 正反対の軌跡を描いていた僕らは、あの日を境に「くの字」に曲がり、そしてまた交わった。 交わった直線は、お互いを振り返ることなく進んでいく。 僕らが再び、交わることはあるのだろうか --さながら、相似のように-- |