絵本みたいな恋をした。





彼は私に触れるけれども、少しも色を含んではいなかった。
優しい手は私の手のひらを掴むけれど、私の腰を抱いたり足に触れてくることはなかった。



それを歯がゆく思っている私は、物語のお姫さまにはふさわしくなかったのだ。


「Nは、私のこと、恋人として好きなの?それとも…私は、ただのトモダチ?」


お話の中のヒロインみたいに、相手の目の前で本音を言うことはできなかった。
言葉は、寒い部屋の中に散らばって消えた。







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