貴方と深い血の海で死んであげる

幾度殺したいと願ったであろうか。

自分を見下す色眼鏡の男を。

男は俺の肉塊を切り刻んでいく。
憎き、赤き、三爪痕で。

「い・・・やだ、お願いしますもう止めてくれ・・・」
「いい声で媚びるようになったな、ハセヲ」

男の左肩から生えた異形の腕が俺の頬を撫で一筋の傷を付ける。
そこから流れ出た鮮血を、男は蜂蜜を舐めるようにした。
俺が男の口許に気をとられていた隙に、俺の右腿が異形の腕に刺された。

「ああああああああ!!!」

異形の腕が腿を貫通して貫く。
そうして出来た穴を拡げるように掻き混ぜられた。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!


俺を見下す男の目は慈父のように優しい。
口端を緩やかに吊り上げて、右手で俺の頭から頬、肩へとゆっくり撫でる。


「オオーウ゛ァン、オーウ゛ァン・・・ッ!!」
「愛してる、ハセヲ」
「な何でここんなことををするの?」
「愛してるからだ。愛おしいからだ。こうしないと俺の想いは伝わらない」


俺のナカに赤黒い欲望が挿ってきた。
俺を何度も貫き何度も殺す。
右腿はもう契れて落ちていた。真っ赤な鮮血の海に。
いつか俺も鮮血の海に溺死させられちゃうんだろうな。


愛を囁き愛に狂うこの男に。

貴方と深い血の海で死んであげる


End- - - - - - - - - -

09-10-18
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