幼なじみに強要すること


 「なんですか、オルゲル」

 オルゲルの視線を感じた。キーボードとディスプレイから目を離し、背後を見れば、ソファの背もたれに顎を乗せて、オルゲルがこちらを向いている。
 ウザイ。仕事をしろ。

 「お前さ、団長の妻みてえ」

 ニヤニヤと笑うオルゲルの頬を、鋭い痛みが走っただろう。オルゲルの背後の壁に、小さな刃が突き刺さる。
 私、メトロノームの暗器である。当然、リアルのオルゲル…猛もダメージを受ける。知ったことか。

 「いっってええな!テメエ!!!」

 「からかうのは止して下さいよ、また手が滑ってしまう」

 「くっそ、松山●に無愛想で取っ付き難いと公認されているだけあっ」

 「煩いな」

 私が袖を翻すと同時に、オルゲルがバックステップで距離を取る。オルゲルのいた場所に刃物が数本重なって刺さっている。追撃をしようとした時には、オルゲルは追撃を受ける間合いからは外れていた。
 先に、構えを崩したのは私だった。私としたことが、オルゲルに対して大人げない。

 「団長や全員の仕事から何まで、管理してやがる。しかも、律儀に全員のスケジュールまで」

 「そうすれば、全員の行動が把握出来るじゃないか。効率が良い」

 オルゲルは、馬鹿にするように、鼻をならした。こんなだから、いつまでたっても要領が悪く、無駄な労力を浪費するのだ。
 私は再度刃をオルゲルに向けた。すると、オルゲルも顔を引き締め身構える。戦闘に対する積極性を、少しは仕事に向けてもらいたいものだ。恐らくは血気盛りなのだろうが。

 「ああ、夫の行動は全て把握したいと。健気だな」

 思うのだが、こいつには喧嘩しか脳にないのではないか?それだけに、馬鹿みたいな挑発に腹が立つ。

 「団長は私の夫ではない!!」

 私は大きく一歩踏み出し、暗器には似つかわしくない、単純に真っ直ぐ投擲した。
 オルゲルは、予想していなかったのだろう、直線に向かってきた暗器の攻撃を喰らい、後方に吹き飛ばされた。
 しかし、素早く起き上がり、荒々しい動作で己に突き刺さった刃を全て引き抜くなり、舌打ちしながら地面に叩きつけると見せかけ、そのまま私に投擲した。

 私は返ってきた暗器を打ち落とす際の一瞬の隙をつかれ、オルゲルに拳銃で殴り飛ばされる。

 「ふん、無様だなメトロノーム」

 「挑発しておいて言うことはそれか、下らない。あと、修正しておくが、団長は私の夫ではない」

 「それはさっき聴いた」

 「団長は私の妻だ」

 オルゲルが呆気に取られる。そこをついて、私はオルゲルを、らしくなく素手で殴り飛ばした。仕返しである。 
 しかし、決まった筈の殴打でオルゲルが吹き飛ぶことはなかった。オルゲルが私の手首を掴んでいたからだ。筋肉馬鹿め、引きはがせない。

 「待て、修正ってのはそこか!?他に突っ込むところはねえのか!!?」

 「なに馬鹿な事を言っているんだ。私が団長の行動を把握していない訳がないだろう」

 「団長逃げろおおおおおおおおおおお!!!」

 私は強引にオルゲルの腕を振り払った。掴まれていた所が、僅かに痛む。
 普段から思っていたが、こいつはマナーとか常識というものがなっていないのではないか?
 だがしかし、それは元より知っている。何しろ、お互い、一番付き合いが長い。幼なじみなのだから。
 だから、むこうだってこれは理解してくれるだろう。

 「私は、良い幼なじみを持ったと思う」

 「あ゛ぁ……?」

 「だから、邪魔はしないでくれますよね?」

 オルゲルに向かって、刃を投擲しそれを媒体として時空間攻撃を仕掛けた。オルゲルが罵倒の声を上げる前に、幾多の次元が展開し、私の視界から消える。
 どれくらい時間がかかるか分からないが、オルゲルであれば何層か重なった次元を破って脱出出来るだろう。

 私は何事もなかったように、定位置に着いて中断していた仕事に取り掛かった。



 (よー、メトロノーム。あっれ?一人?今誰か居なかったか?)
 (気のせいじゃないですか?)


 end
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 イメージ像では、メトオルメトでメトフリュ。
 幼なじみはリバさせたいんです。
 ただのギャグで乱文になりました。意味ないです。妄想です。
 次はちゃんとしたの書きたい。

 あと、題名、思いつかなかったんです。

 110130
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