ふたなりねた。
ニール・ディランディことロックオンがアレルヤと肉体関係になってから、一週間が経った。
前提としてまず付き合い初めて半年経つ。
いつ命果てる暮らしのもととでありながら、とても長いプラトニックな関係だったと涙ながらに回想する。
ロックオンとしてはそれで満足していた。
ニールとしては、多分満足出来なかっただろうなあと自分で考えてみる。
いつ命果てるか分からないからこそ、逢える時間がとても少ない事を知っていたから、もっと恋人らしい付き合いをしたいという考えになったのだ。
それは、たとえ男同士とはいえ、デートでおしゃれなレストランで食事をしたり、ロマンティックな恋愛映画を観劇したり、遊園地でデートしたり、観覧車の頂上でキスをしたり。
普通にゲームセンターとかに行きたい、普通の日常の買い物をして一緒の家に帰りたい、コンビニで買ったお菓子を公園で半分こしたい。……手を繋ぎたい。
どんどんその難易度は下がって行く。
手を繋ぐのだって、キスをするのだって、とても時間がかかった。
しかし手を繋ぐたび、キスをするたび、抱き締めるたび、アレルヤへの愛しさは新しく芽吹いた。
人生最期の恋人だろう。いいや、絶対に最期にしてやる……とニールは意気込んだ。
アレルヤの愛しさだけで十分幸せであった。
だからロックオンとして、アレルヤの恋人として、アレルヤにはとても綺麗な恋愛をさせてあげたいと願った。
そういう考えもあり、ロックオンとアレルヤが体を重ねる事は、男同士であるという引け目もあったかもしれないが、長らく会話にすら出る事はなかったのだ。
しかし何故、二人がついに体を重ねたかというのは……。
男として、アレルヤには恥ずかしい想いをさせてしまったと思う。
理由はどうであれ、まさかあの純真でストイックなアレルヤに、『抱いてくれ』と言わせてしまうなんて。
そのままの関係でいいとロックオンは思っていた。
だからこそ、アレルヤの脇目も振らず涙を流し縋り付く様子に困惑した。
……アレルヤは、いわゆるインターセクシャルだった。
それを病気として解釈するのであれば、クラインフェルター症候群というものに該当するらしい。
であるのだが、その中でもアレルヤは特に珍しく男性器・女性器ともに持ち合わせいた。
十歳以前の記憶が無いアレルヤにとって、それは元からだったのか肉体改造によるものなのか分からなかったが、アレルヤはここソレスタルビーイングに入るまでそれを当たり前と思い、それであって自分は男だと思っていたのだという。
つまり、世の中の男はこういう体なのだというのが、それまでのアレルヤの常識だった。
勿論ここに来てからそういうのは間違いであったのだときちんと学んだそうで、またソレスタルビーイングは独立した医療機関も完備しているのでそこでの検査もあり、曲がりなりにも病名もつけられた。それが正しいのかは分からないが、クラインフェルター症候群という症例に該当するらしい。
その病気の特徴のとおり、通常の男性の性染色体は「XY」であるのだが、アレルヤのX染色体は1つ多い「XXY」になるのだというらしい。
らしい、というのは又聞き程度だからだ。
仮にも恋人の……となるかもしれないが、アレルヤ自身も自分の病気に対して又聞きぐらいの知識しか無いのだから仕方が無い。
アレルヤ自身は病気だという自覚は全く無かったらしいが、そういう病気であったが為に、無事第二次性徴を迎えられるかが懸念されていたが、女性器がある、という事以外は至って健康な男性へと成長し、自分自身も男だと思っていた事もあり、そのまま正規のマイスターに任命された。
しかし一体どういう運命で、男同士付き合う事になったかというのかは今回は省略させて貰うが、そんなアレルヤが『抱いてくれ』と言った理由は、察しのいい皆なら解ってくれるだろう。
14歳のアレルヤとは一度会った事があり、たしかにその頃はとても中性的でティエリアとも引けを取らなかったし、後に合流するまだ幼さを残していたスメラギやクリス、フェルトともに遜色ない可憐さもあった。
後者については多分惚れた欲目もあるだろう。
勿論大人になったアレルヤも美しく、それでいて何処か儚げで無垢だ。
だからこそ、そんなアレルヤに『抱いてくれ』だなんて、言わせてしまった自分が愚かしく、不甲斐なく想えてしまう。

まあそんなこんなで、初夜から一週間が経った。
今でも生々しく思い出せる程、とても情熱的で官能的な夜だった。
抱いてくれと言ったのはアレルヤだったが、いざ本番となるととても怯え、そして自らの体を醜いと卑下し、やっぱり止めようと泣き叫ぶ姿に劣情を覚えたのはここだけの話だ。
しかし恐怖で震えるアレルヤであったが、男としての興奮の色は隠し切れなかった。
小さくもぷるぷると勃ちあがる男性器のおかげで本当に嫌じゃないのは同じ男として分かったし、そして何より、その下にある小さな蜜壺から微かに愛液を滴らせていた。
性別的に両方未発達であるのか、成人男性のアレルヤのしっかりとした肉体に少年少女のような性器がある、というのはギャップがある。
そして同時に自分を化け物だと泣いて自らを貶めるアレルヤを愛しく思った。
もちろんその愛おしさは尽きる事なく朝を迎えたのだが…………

最近、アレルヤが冷たい。

最近というか、一夜を共にした次の日からどうにも様子がおかしくなった。
目覚めた時はいつも通り、と言っても初めての夜だったのだからいつも通りというのはおかしいのだが、おはようという挨拶を、俺の腕の中で微笑んでかけてくれた。
しかしここ2.3日はそれが顕著に現れ、会話すら無い。
「あ、アレルヤ……」
「……」
廊下でその姿を見掛け名前を呼んだ。しかしとうのアレルヤはすぐに背中を向けてふいと何処かに行ってしまう。
目線すら合わせてくれない。
そのたび酷く落ち込んだ。
こんな事になるのなら、セックスなどしない方が良かったのではないかと後悔すらした。
止めようと言ったアレルヤに従っていれば良かったのだと、男の欲望に負けてしまった自分を責める。
「なんだ、ロックオン。こんな所で待ち惚けか」
そこに珍しくラッセが通り掛かる。
肩からタオルを下げて、やって来た方向はアレルヤと一緒だ。
(トレーニングの後だったのか)
それにしては、汗一つかいていなかった。
声を掛けて反応したアレルヤは少し眉を寄せ、戸惑ったような表情をした。
「いや、……なあラッセ、アレルヤ最近おかしくないか?」
「お前もそう思うのか」
アレルヤと、ラッセ、そして刹那はトレーニングルームの使用時間が半端無い。
だから共有する時間も多いのか、ラッセにもそのアレルヤの違和感を感じ取っていたようだ。
「お前もそう……って、どんな事があったんだよ」
「いや、最近あいつトレーニング中でもどこか上の空でな。その癖シャワー浴びるって部屋に戻るんだ」
一応トレーニングルームには脱衣所を兼ねた仕切り付きの簡易のシャワールームがあるのだが、まずトレーニングルームを使うのがマイスターとラッセぐらいしか使わない所だ。
俺と付き合う前はアレルヤとそこでふざけあった記憶もある。付き合い始めてからも、普通にそこをアレルヤは使っていた。
トレーニングで気を紛らわそうとしたが身が入らなかったのだろうか。
いつも通りのトレーニングメニューをこなしてるかと思えばため息ばかりだったという。
(やっぱり、原因は俺なのかな)
「……体調でも悪いのかとも思ったんだがな」
ラッセは少し含みのある視線をロックオンに向けた。
「もしそうなら、お前がもっと最初に何か言ってるだろう」
「……俺?」
「おいおい、お前が注意しなくてどうするんだよ。俺らが言ってもあのヤンチャ坊主どもが体調調整するのか?」
ティエリアはそもそもキッチリし過ぎてるくらいだとは思うがな、とラッセは続けた。
「って事は何も言ってないんだろ?……アレルヤはもともと病弱なんだろう。モレノさんの所までひっぱって行けよな」
「……そこまで俺の仕事かよ」
「トレーニングルームで刹那に振り回される俺とアレルヤの身にもなれよ?」
「俺ももうちょっとメニュー増やすぜ……。悪いな、いつも刹那の相手させて」
「なに、俺はお前と違ってああいう無茶な野郎は嫌いじゃないさ。ここよりもっと殺伐とした人間の間で揉まれてたし……"お兄ちゃん"はそこが気が気でないんだろうけどな」
そう言ってタオルで髪を乾かしながらラッセはアレルヤとは違う方向へと行ってしまった。
ラッセはロックオンより年上でありながら、マイスターともスメラギや年の功のイアン・モレノともまた違った立場に自らを置いていた。
それが彼の"殺伐とした人間の間"で得た処世術なのだろう。
それがニールにとっては羨ましくもあったが、本来の性分としてなかなかそうは行かない。
たとえそういうのを学んでいたとしても、今こうしてアレルヤと密な関係になってしまったのだから……逃げる事は、出来なかった。
(ほんとうに、体調が悪いだけなのかも)
ただアレルヤの不調のサインを自分が見逃していただけなのかもしれないとニールは思い込む。
であればなおの事、自分がアレルヤを引っ張って医務室に行かないと。
意を決してニールはアレルヤの部屋へと足を進めた。


てきとーにかいて、
アレルヤちゃんがはじめての、えっちのあとから避けてる→なんでだよ!→押し倒す→剥ぐ→血のついたてぃっしゅが……→えっちしてからずっと止まらないの……→えっそれ生理じゃ……→そんなはずないですよ→おなかいたいんだろ?→調べてもらう→どう考えても初潮ですおめでとうございます


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