てすと
眠る前の、ほんの冗談。
一瞬の甘えがこんな事態になるなんて俺は想定してなかった。

「まだ寝ないのかい?」
その日の俺は遅番で、薄暗い廊下から声がしたと思って振り返れば、ぎらりと光る銀色の瞳が此方を向いていた。
「いや、今日は遅番」
普段地上配備だから、と付け足す。
「ふうん…」
「なんで座る?」
子供は寝る時間だと諭すが、アレルヤには通じない。
「眠れないんです、だからちょっとふらふらしてたら貴方がいて……」
「夜更かしは悪い子がする事だぞ〜?」
「だって、眠れないんだから仕方ないじゃないですか」
「んー……じゃあ、俺が眠れるおまじないをかけてあげよう」
「おまじない?」
「そ、すぐに眠くなるおまじない。だから部屋に戻ろうぜ?」
背中を押して、廊下を進んだ。
ちょっと蹴るだけで大の男二人がふわふわ進むから、宇宙空間というのは本当に便利だ。


「で、おまじないってどうするの?」
「まずを靴を脱ぎます」
「はい」
「次にベルトを抜きます」
「はい…ってええ?!」
「だって息苦しくないか?」
「…考えた事無かった」
「あと、シャツもゆったりしたのにしろ」
ジーパンも、だ
「あんまり、そういうの持ってないんですけど……」
「えー?じゃあ、地上いた時に来てたタンクトップでも着てろ」
「はあ……」
「んで、布団に入る」
「うん。」
「空調の温度ちょっと変えるぞ」
「……で?」
「手は布団の中!」
肩まで布団被せる
「息苦しいよ、ロックオン…」
「がまんがまん」
「次は?どうするの?」
「目をつぶる」
「…それだけ?」
「後はお前さんじゃなくて俺がすること」
ゆっくり瞼を閉じるように撫で下ろす
「……おやすみ、アレルヤ」


***ここから下書き***












「……おやすみ、アレルヤ」

「っ!?」
ばちっと目が開く
「おいおい寝るのに目ェ開けてどうするんだ?」
がばっ
「……っあ、」
ぱくぱく
「なに今の!」
「何って・・・・・・・・・・・・・・・・・おやすみの、キス」

それからだ、毎晩寝る前にアレルヤが俺の部屋に来るようになったのは。
「ロックオン、今日も遅番?」
「ああ…」
普段甘えてくるような子じゃなかったから、どう対処したらいいのか解らずに結局俺は毎晩キスをしてしまっている。
「…ん、は…」
しかも、最近……少し、時間が長くなっているような気がする。
ただ唇と唇を合わせているだけなのに、がっしりとその逞しい腕で頭をホールドされて、俺は逃げるに逃げられないでいた。
いや、唇と唇っていうだけで、十分問題なんだけれど。
「っ…ふ、アレルヤ、そろそろ」
「!!ごめんなさい、」
怪訝そうに時間が、と咎めると?、とろんと蕩けきった瞳は一気に覚醒して、唾液に濡れた唇が謝罪の言葉を漏らした。
こいつは悪い大人に捕まってしまっている、現に俺が悪い大人だからだ。
多分これ以上行為を進めてしまったり、おやすみのキスと称したこの恋人のキスを、昼間にでもやってしまったらきっと俺は止まらない。
この純朴な青年を押し倒して、ぐちゃぐちゃのどろどろに犯して、全身淫乱にしてしまうんだ。
キスしてる間の、あのとろけた顔を、誰にも見せたくない。
だからきっと俺無しじゃいられないよう酷い事をしてしまう。
それだけは絶対にしたくない、と自らを叱咤した。
しかし無意識にそんな事を考えてしまって、素直な俺の中心は熱を持って早くあの子の中に入りたいと暴れていた。
ただ素直に「かわいい」と思えたら、どれだけ気が楽か。
…否、既にそういう好意を持っていたからこそ、今のこの行為に耐えられないでいる。
「好きな子に、毎晩求められたら…そりゃあなあ…」
独り言は、注意灯?で薄暗く照らされたリノリウムの廊下に消えた。

うっかりあんな事を考えてしまった夜から、俺はアレルヤに近づく事が出来なかった。
毎晩せがまれたおやすみのキスだって、2,3日おきにしかしてない。(俺なりにセーフティをかけてるんだ!)
取り敢えず、ミッションだの色々理由を付けて、俺はアレルヤから逃げていた。
男は股間で物を考えるなんて、誰が上手い事言った!
理性が無くなってしまう前に触れるのを止めなければこの狂いそうな熱に俺はもっと惹かれてしまう。
逃げれば逃げるほど、避ければ避けるほど、どんどん愛しさと恋しさと、汚い欲望で頭の中はぐちゃぐちゃになって、夜何度も頭の中で可愛いあの子を犯す妄想に耽る。
ゴミ箱にティッシュをシュートする度、ぐちゃぐちゃな頭の中でぐちゃぐちゃになってるのは俺の股間だ…って何度も自己嫌悪した。
ぶっちゃけアレルヤ不足です、電池残量残り1です神様…。
いや、多分きっと、1も残ってない……。
その時、自らに宛がわれた部屋の扉からノック音が聞こえた。
「…ロックオン、起きてる…?」
時刻は午前1時を回ったところで、ミッション時と遅番以外はグリニッジ標準時間を基準に生活しているトレミーのクルー達は既に床に就いている筈の時間帯だ。
そんな時間の急な来訪者の声に俺は驚いて、ベッドから落ちてしまった。
ズドン、と重力設定のせいで重苦しい音が鳴り響く。
「!?どうしたのっ?」
「待て!開けるな…ッ!」
突然の来訪者…アレルヤが扉を開けようとパスコードを解除しようとする音が聞こえ、静止の声を叫ぶ。
まずい、今こんな状態で部屋に入られたら、ぐちゃぐちゃの下肢がアレルヤに見られてしまう。
…ちょっと興奮する、が、今はそんな場合じゃないと俺は手早くティッシュで残りの白濁を拭き取り萎えた自身を緩めていたジーンズのなかに仕舞った。
どうやらアレルヤは大人しく俺の声を聞いて扉の前で待っていてくれるらしい。
空調を換気に変えて、消臭剤を振りまいて青臭さを隠そうと必死になる。
何度か深呼吸を繰り返し、息を整えて俺は扉を開けた。
「…………こんな夜中に、どうしたんだ?」
自室に進入させまいと扉の縁に肩肘を突いて、震える声を隠すようにあくまで声は平常を保とうと何素知らぬ顔をした。
今の今まで眠っていたという寝ぼけた様子を装ってわざと欠伸をする。
先ほどまで自慰行為に耽っていたという事実を、決して悟られないようにと切に願った。
「ごめんなさい、…寝てたんですね…」
アレルヤは俺の後ろのベッドに視線を移し、俺の欠伸を聞いてしょげかえるようにしてそう呟いた。
視線を右往左往する様子だとか、もじもじと指を弄る様だとか、その行動一つ一つが目に留まり、そして愛らしく映ってくる。
「いや別に、転寝してただけ……」
これは嘘じゃない。
アレルヤから目を逸らす様にして斜め上を見た。
しゅんとうな垂れるアレルヤの旋毛が見えて、目を合わす事も出来ないような事をしていたのだと自覚する。
それがなんだか気恥ずかしくて、アレルヤ同様俺も視線を右往左往した。
「「・・・・・・・・・・・」」
無言が続く。
「あの、」
その静かな時間を切り裂いたのはアレルヤの言葉だった。
「部屋に…入ってもいいですか?」
どきり。
胸が痛くなった。

「なん…で?」
「……あの、…また眠れないんです……」
だからまたキスをしてほしいと?
「ア、アレルヤの部屋じゃだめか?」
もうキスをするのが駄目だとかそういう事は頭に無かった。
ただついさき程まで目の前の人物を想って自慰行為に励んでいた部屋に当の本人を招き入れられるほど、俺は出来た人間じゃない。
自分の欲望がアレルヤの目に付いてしまうという恐怖と、招き入れる事によって今まで築き上げてきた関係性が壊れてしまうのではないかという怯えが脳裏を過ぎった。
「駄目なんです、僕の部屋は駄目なんです…!」
俺の提案を振り切るようにしてアレルヤは俺の胸に縋りつく。
ああ駄目だ、その汗を纏うアレルヤの香りが鼻腔を擽って、胸がいっぱいになる。
「解った、解ったから……離せって、な?」
そのまま押し流されるようにして無理矢理部屋に入られて、どうしようも無く俺はただしがみ付いて来るアレルヤの力強い腕を解くしか出来なかった。
備え付けの椅子に座るように促がして、俺は汗に濡れるシーツを隠すように自らベッドに腰掛けた。
「どうして眠れないんだ?」
取り敢えず問題の根本的な解決を、とアレルヤに尋ねる。
しかしアレルヤは両手で顔を隠すばかりで、何も答えてはくれなかった。
「超能力者じゃないんだ。言わなきゃ解んねえぞ?」
俯くアレルヤを覗き込むように少し前のめりになる。
やっと顔から両手を離したアレルヤのその銀の瞳には、たくさんの雫がいまにも溢れそうになって潤んでいた。
心なしか頬も高潮している。
夢に見たようなその表情で熱い息を吐いて、静かに俺の両頬をその涙で濡れた両手で包む。
風邪かなにかなのか、と思ったが、アレルヤが発した次の言葉で俺の頭の中は真っ白になった。
「キス、が…」
「キスが?」
「ロックオンのキスがないと、駄目なんです」
「……は、」
「ここ最近ずっとおかしいんです。たった数日おやすみのキスが無いだけで、こうして僕の体は熱くなって、胸が苦しい…!」
つまり、俺のキスが無いだけで、涙が溢れて、体が熱くなると?
「だから早く、キスをして、この熱をどうにかして……!」
空いた口が塞がらないというのはまさにこの事を言うのだろうか。
「」



「じゃあ、俺がいない時はどうしてたんだ?」
「あっ…じ、自分で……っ」
「自分で?自分でどこをどうしてた?何を考えてたシた?」
「ロックオンのこと、考えて…っここを、こすってっ…んあっ」
「ふーん、俺に触られる事、想像してシテたんだ」
「っはぁ、ち、ちが、そうじゃ無……ッひぅ」


「淫乱」
「…?いん…?」
「こーんなアレルヤみたいにエッチな子の事をそういうんだよ」
「ぁあっ…僕、エッチなの…?あっあっやだァ…それっ」
皮グリグリ
「だってキスしただけでこんなになる男の子、そうそう居ないぜ?」
首をれろーっと
「な、言ってみ?『僕はロックオンがいなきゃダメになる淫乱な男の子です』って」
「や、ぁああっ……」
「言わなきゃ、イカせてやんない」
※絶対言わない。
硬く口を紡ぐ
ふーっふーっ
「強情だなあ…ま、いつまでそれが持つかな…」
ローション垂らす
「ひやぁっ!?なっ何して…!?」
「ん?もっとエッチで、もっとスゴい事」
「いっ…ひ、ぐ……ぅああっ!!なんでそんなトコ…っ」
「大丈夫大丈夫、すぐヨくなるからさ」
ちゅっちゅっとこめかみにキス
「ほら、二本目。入るぞ」
「ヤダ…やめて、そこ汚いから!そんな所気持ちよくないからぁ!」
「このへんに…ある筈なんだよ」
一枚壁を隔てたところにあるこりこりとしこった所を
「ああっ!?や…何、今の…ッ」
「ここかぁ、アレルヤのイイところは」
「あっあっやぁん!やだ、だめ、イっちゃう!」
「ダメ、イカせない」
「ひぃっ…!ん、やあ…も、もうイカせてよお…っ」
「イきたいなら言って?『僕はロックオンが欲しくて欲しくて堪らない淫乱な男の子です』ってさ」
「やだってぇ…!しかもそれ、さっきと違…ひゃぁんっ」
いつの間にか指が三本になってる
「別に言わなくてもいんだぜ。アレルヤはそのまま射精出来ないだけだし。俺にココを拡げられて、女の子みたいにあんあん言ってればいいんだから」
「お、おんなのこみたいに…?」
「俺の事考えて、一人でオナニーしちゃうぐらいエッチなアレルヤなら知ってるよな?」
指で中モミモミ
「アぁ…ッ!」
「これからここに俺のこれが入って、女の子みたいに股拡げられて、犯されるんだよ」
宛がわれる
「ひっ…、ゃ…こ、こんなおっきいの入らない…っ」
「さっき俺の指が三本も入ってたんだから、イケるって」


20120801

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