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from 沖田先輩
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早く帰って来ねぇと昼飯なくなりやすぜ


恐ろしい年功序列


「なっ、なっ、なっ……なんで先輩がうちにいるの!?」

「あら、悠月。お帰り。まずはただいまでしょ?あと、お客様にも挨拶」

「母さんなんで普通にもてなしてるの!?」

「お、悠月!いやぁ、お前いい先輩持って幸せだな!今どき見舞いの礼に菓子折り付きでうちに来る男なんぞおらんぞ!」

「お姉ちゃん、だめだよ。母さんも父さんもあの先輩さんのこと気に入っちゃったから。諦めた方がいいよ。それよりさ、このワンピースどう?」

「祐希……はぁ。うん、似合ってるよ。すごく」

母さんに買い物を頼まれてその店先で受信したメール。大急ぎで返ったら玄関には沖田先輩の靴。そして普通にお昼ご飯を振舞ってる母。
父はばっちり菓子に心を掴まれて、ワンピースの裾を翻した弟は雑誌の撮影があると言って私と入れ替わりで外に出た。

「沖田くん、悠月来たわよ。ごめんなさいね、お見舞いって言ってもこんな気を使わせるつもりはなかったんだけど」

「いいえ。本当に助かったので。ありがとうございます」

「……え"!?」

せ、先輩が敬語を使っている。これは事件だ。どうしよう、何かよからぬ事が起きる気がする。すごく悪い予感がする。
寒い廊下にいるにも関わらずダラダラと冷や汗を垂らしながら、私は頬を引きつらせた。買ってきたお米が重いなんて、すっかり忘れている。
談笑する父、母、そして先輩。え、何これ。なんのドッキリ?ひぃっ!先輩がこっち見て「普通に」微笑んだ!
思わずジリリ、右足が後ろへ進む。それを見た先輩がにこやかに笑って何か言って立ち上がった。父さんと母さんがそれににこやかに笑って何か答えて振り向いた。

「悠月、買い物したのはそこに置いといていいから沖田くんのお手伝いしなさい」

「な、なんの?」

「総悟くんは病み上がりだろ?冷蔵庫も空っぽだろうし、悠月一緒に行って荷物持ちしてあげなさい」

「いつもお世話になってるんでしょ?それに吹奏楽には体力が必要だって、悠月毎日言ってるじゃない」

「大丈夫ですよ。お昼をご馳走になって、その上娘さんの手まで煩わせるわけには―――」

「いいのよー!うちの子なんて、ばしばし使ってちょうだい!荷物持ちだってなんだってやらせていいのよ!」

「か、母さん何言ってるのー!?」


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