unhappy_2

♀J独白
続きませんorz



シーザーと縁を切って1ヶ月経った頃、スージーは妊娠していた。スージーは好きな人の為なら何でもする程健気な子だったから、奴とは合意の上だったのだろう。俺とスージーは長く話し合った結果、中絶する事を選んだ。スージーは色んな出来事が重なったせいで軽いうつになってしまい、講義を休みがちになった。俺は負担をかけない頻度で、スージーに会いに行く。スージーは喜んでいたが、きっと本心からではない。

そんな彼女の姿を見る時、俺はシーザーに対する憎しみが増す。


週末、大学帰りにケーキを買ってスージーの家まで向かう所だった。高層ビルの入り口から出てくる男女の姿。男は紛れもなくシーザーだった。その隣にいたのは知らない女だったが、シーザーの腕に絡んで来る様子からしてどう見ても彼女だった。

シーザーは自分が犯した罪すら忘れたみたいに、女とヘラヘラ笑っている。だが俺の視線に気づいた瞬間、不機嫌そうに眉間を寄せた。罵声の一つでも浴びせてやろうかとも思ったが、奴とは縁を切ったつもりでいる。俺は視線をそらし、早足で二人の横を過った。凍てついた様な視線が刺さったが、別に痛くも何とも無い。





「スージー、お前あそこのケーキ好きだったろ?」
「わ、ありがとうJOJO」
「礼なんていいよ。それで、あのさ……手術の日取りは決まったのか?」
「来週の火曜だって。なるだけ早い方が良いってお医者様がね」
「そっか。手術だしな、やっぱり怖いか?」
「ちょっとだけ。でも終わってしまえば、大した事なんか無いと思うから。JOJOがいてくれて良かった、JOJOがいなかったらあたし……きっと泣いてばかりだったもの」

そう話すスージーの微笑みは、確かに本物だった。




* * *




「スージーは元気か」

スージーの中絶手術の日にそれは起こった。俺は嫌悪感が最高潮だった。まさか、シーザーからスージーについて聞かれるとは夢にも思っちゃいなかった。

「いきなり何?」

俺の返答に対し、シーザーは馬鹿にした様に鼻を鳴らす。

「スージーを最近大学で見ないから、仕方なくお前に聞いたんだ」
「お前に関係無えよ」
「関係ない?それはコッチの台詞だ。他人の俺が誰とどうしようが勝手だろ。部外者のお前が何を偉そうに」
「ッ、それで?お前が元カノのスージーに一体何の用だよ!」


「……別に。もう一度やり直したいと思っただけさ」



――自分でも何をやってるのか分からなかった。それ位頭が沸騰してたんだと思う。乾いた音が小さな講義室内に響く。幸い自分たち以外に誰もいなくて良かった。

自分が繰り出した平手打ちは見事にシーザーの頬に命中していた。

「ふざけんな!お前のせいでスージー、大変な目に合ってんだぞ!」

言い切った時、油断して涙を零した。きっと、こいつが最低な奴だって再認識したからなのかも知れない。



そして俺は遂に、二人だけの秘密だった事を喋ってしまう。

「――妊娠?」
「ああ。お前の一時の過ちのせいで、ずっと苦しんでる」

スージーは優しい女の子だから、純粋にシーザーの事好きだったから……シーザーによりを戻そうと迫られれば、きっと受け入れてしまう。それだけはあってはならない。

大切な親友を、こんな最低な男に渡すものか。

「……なあ、頼むよシーザー。もう、あの子に関わらないでくれ」



シーザーはそんな俺の精一杯の頼みを踏み躙るかの様に、こう答えた。

「さっき言ったが、JOJO。俺が誰と付き合おうが、お前には関係ない」
「そんなの知るか!お前をスージーには会わせない、渡さない!」
「スージーは俺を好いているんだ。俺だってスージーとやり直したい。それの何が悪い?俺たちからしたら、お前はただの邪魔者だ」
「……ッ…」

黙り込んだ俺を見て、シーザーは背を向けようとした。が、俺はそれを止めた。無意識に、シーザーの腕を強く掴んでいた。

どうすれば、シーザーはスージーを諦めてくれるのだろうか。








俺は、シーザーが住む高層マンションの上階の部屋にいた。時計を見ると9時を回っている。色んな女の匂いが混じったベッドの上で、ただぼんやりと虚空を眺めていた。

シーザーはスージーに手を出さない代わりに条件をつけた。それがこれだった。俺は最初は嫌だと思ったが、これ以上スージーが壊れるのを見る位ならと、最終的に飲んだ。シーザーは幼馴染で、男として深く意識した覚えはない。確かにハンサムな顔立ちだし、女の子達にウケがいいのは認めているが。
シーザーが背後から来て、俺の肩に手を置き顔を覗き込んでくる。からかう様な表情を見て俺はすぐさま顔を逸らした。

「ちゃんと条件を満たす気でいるんだか、分からないな」
「う、煩ぇ。やるなら、とっととやれ!」
「JOJO。こういうのはな、雰囲気が重要になってくるのさ。まあ、経験の浅いお嬢様には分からないだろうけど」

シーザーは項を撫でて、「シニョリーナ」と囁きかけてくる。甘く囁かれて、不覚にも背筋に痺れが走った。最悪だった。

「こんな男みてーな女に、こんな事して楽しいのか」
「随分と卑下するな。…お前は背が高いから、俺の体格からして丁度いい。それに」

逞しい手が向かった先は、俺の胸だった。もにゅもにゅと形を確かめる様に揉まれ、俺は悲鳴を上げた。

「ッヒ!?」
「こっちも好みだ。大きさ的に……Fか」


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