量産ちびと先生♀が海の近くで暮らす話(一撃男)

ちび一人しかいない
ジェノスは独立してる設定



「見渡す限り海だなぁ」

冬の海はとても寒く感じるなと、サイタマはコートの襟を握った。Z市と似た静寂さはあるが、怪人の気配も感じ取れない辺りそれとは違う。

一度はS級の頂点だったヒーローだが、ある出来事を切欠にその座を弟子に譲り、彼女はヒーローを引退した。仇討ちを果たした弟子はそろそろ独立を考えていたらしかったので、そりゃ喜ばしい事だとその背を押した。

風の噂で、純朴そうな女の子と歩いてる姿があったとのことだから、そろそろ彼も結婚し子供も作り出すに違いない。少々複雑な理由は、サイタマは一度彼と体を繋げてしまっているからだった。男女が一つ屋根の下というのもあったし、おまけに泣きつかれてしまっては彼女も無下に断れなくなり、そこからはやけくそだった。

その翌朝言われた言葉は、あの日のことは無かったことにしてくださいだった。虚しいと思ったのは、きっと、色々と期待していたからだと嫌がおうにも気付いた。いいよ、といつもの調子で返してしまったのは、迷惑かけるのが嫌だと思う気持ちからだったのだろう。

愚かな女だと思われるだろうか。

サイタマの希望で弟子が置いていったデバイスがある。元々弟子が博士と通信をしたりデータを保管していたもので、見た目は6、7歳位の幼い弟子の姿をしている。もう中身は全て削除されているが、ダメ元でスイッチを入れたら何と起動してくれた。

「せんせい、?」

ちゃんと先生と呼ぶようプログラムされてる辺り、博士の心遣いを感じる。

「せんせい」

前から子供が欲しかった。細やかだけど、幸せな家庭を作って、子供を外で遊ばせたいという夢がかつてあった事をサイタマは思い出す。

父親がいればこの子もさぞ喜んだに違いないとサイタマは思う。

髪が頬に張り付く。この「子供」と遊ぶ内に、だんだんと生えてきた毛髪は、今は背中につく位伸びた。この子に対する母性愛が強くなるごとに伸びていくのだ。

「ほら。おいで」

サイタマはジェノスを軽々と抱え上げた。ジェノスは無邪気に声を上げている。

「帰ったらオムライス作ろっか」
「せんせいのオムライス」

この世界は自分だけのもの。







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本家弟子がこの世界をぶち壊しにいく話を書きたい


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