a long dream(dj♀/jojo)
後天♀/ジョナエリっぽい描写あり
dio様です
僕はエリナと無事結婚し、一人の娘をもうけた。名前はエリザベスと決めている。目鼻立ちはエリナによく似ていて愛らしかった。癖のある黒髪はきっと僕の血に寄るものだろう。
エリナは毎日、僕より早く起きる。僕がベッドから出て1階へ降りると、既に朝食を用意して待っていてくれる。こうして僕らの一日は始まるのだ。僕が働きに出ている間妻は娘に付きっきりで育児に励む。無理をせずとも、ベビーシッターを雇っても全然構わないのにと言っても、エリナは「大丈夫」と微笑んで遠慮する。すっかり母の顔になっている彼女と――結ばれる事が出来て本当に幸運だったとつくづく思う。
僕はあの戦いに打ち勝った。かつて己と衝突した、侵略者の影は今は跡形もない。今の僕は様々な犠牲の上で成り立っている。今更過去を否定しようとも思っていない。
それでも、歩き続けるしかないのだ。
エリナがゆっくりと僕に近づいて来る。首に手を触れられた瞬間、振動がゆるやかに伝わってきた。遠くから聞こえる轟音。
そう、僕らは船の中にいた。
エリナの手が真っ赤に染まる。初めて酒を飲んだ時の彼女は、とても初々しく華美な女だった。手放したくないと思っても、それはどうやら叶わない。僕はじきにあの世へ旅立つのだから。
「さようなら」「エリナ」「どうか幸せに」
僕の心は泣いていた。理由は分からない。分からないけれど、自分が抱えている「男の首」が全て知っている。きっと僕はエリナと引き換え、この男と運命を共にする事を選んだのだ。意識が霞む中で、男と視線が合う。
男は歓喜の表情を浮かべていた。
次に目を覚ました時、仄暗い部屋の中だった。
僕はゆっくりと身を起こす。嫌な夢だと思った。エリナの顔が見たくなって廊下へ出てみたが、エリナは愚か使用人の気配すら感じられなかった。何でこんな胸糞悪い夢なんか見なけりゃならないんだ、畜生。心の内で呟き、長い廊下を早足で歩く。ふと、曲がり角の鏡台の前で立ち止まった。こんなもの、家にあっただろうか。
鏡に映るのは、長い黒髪を垂らした若い女性だった。包容力のありそうな豊かな胸、くっきりとした眉、細い手足。エリザベスが成長したら、きっとこんな風に美しいのだろうか。だが女の首筋を横切る痛々しい傷は、一体何なのだろうか。僕は鏡に手を伸ばす。
「やっと目覚めたか」
手首に圧力が掛かり、僕は動きを止めた。血色の悪い無骨な手が僕の手首を掴んでいる。エリナじゃない事は明白だった。片手で腰を支えられ、もう片方で胸をやんわりと揉まれたのち、喉元をさすられる。
「だいぶ肉体が馴染んで来た。今の貴様は一級の芸術品と呼べよう」
僕は、この男を知っている。
「我が夜の下僕であり、妻。ジョナサン・ジョースター」