Family Romance

2V♀D R-18




一度悪魔と化した肉体は、本能を制御する力がなかなか働かせ辛い。だが、言葉を口にしたり論理的思考ができるのは、ひとえに妹のお蔭である。力を渇望していたあの頃、何度も命を奪いかけた。「たった一人の肉親」という一つの理由だけで、手遅れの状態にまで陥っていた俺をここまで救ったのだ。

俺が人間として生活できるようになるまでには長い年月を要した。妹は献身的に介抱する裏で、膨大な数の依頼をこなし続けた。また、悪魔は自慰ができない事を知識として知っていた妹は、時折溜まっていた欲を吐き出させてくれた。人間とは比べものにならないほど、悪魔という生き物は本能的だ。ときどき、妹を半殺しに近い状態にするまで嬲った事もあった。それでも、妹は何一つ文句は言わない。彼女は俺の苦悩を知っていたから、責めたりしなかった。

身勝手で矮小な兄の為に、彼女は青春を、人生を棒に振った。俺を見捨て、どこぞの男と家庭を築いた方がよっぽど有意義だったろうに。そう考えた時、俺は胸が締め付けられるような気持ちになった。




普段は彼女が食事を作るが、今日は久し振りに自分で作ってみる事にした。簡単なものしか作れなかったが、いつも起伏に乏しい妹が珍しく上機嫌でいた。

夜が更ける頃、二人一緒にベッドで横になった。その体の柔らかさに思わず欲を抱いてしまい、それを察した彼女が俺の首に手を回す。”最近してなかったな”と小さく呟かれ、何も返答できない。

「…手の震えがどうとか言っていただろ。平気なのか?」

彼女は微笑んで「平気」だと首を振った。愛らしい仕草にたまらず、俺はその背中をかき抱いた。抱き返す彼女の手は冷たく、弱々しい。昔みたいに快活だった姿は、もうどこにも見当たらない。与えられるものが少なくなっても、絶えず彼女は俺に与えようとしてくれる。俺は変わらず、それに甘んじ続けている。

まるで悪魔が人間を餌として食らうのと同じだ。俺はまだ悪魔だ。俺に体を差し出す妹は、ただの人間だった。



俺は本能に従い、狂ったように腰を振った。以前は頬に手を触れてくれたりしたが、妹は揺さぶられるだけで何もしなかった。煽情的な喘ぎはやがて小さな呻きに変わっても、知らずに俺は手酷く抱き続けた。絶頂に達したっぷりと注ぎ込んだ後、異変にようやく気付いた。

俺はとうとう妹の命を奪った。







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