Frankenstein
3V♀D→1V♀D(時系列
妹を誤って殺してしまった。大した理由はない、怒りに任せた結果がこれだ。取り返しがつく訳もなく、死んだ妹の骸をどうするか考え、一つの結論を出した。
妹の体内から臓器を全て取り出し、代わりに土、その他諸々を詰めた。義眼を作るのには苦労した。禁書に書いてあった魔術をだめ元で施してみると、何と驚いたことに成功したのだ。
妹は瞳を開け、ぎこちない動作で起き上がった。人間の様な動きじゃなく、まるでロボットのようだった。俺は仰天し、しばらく硬直していた。
「あなたは、だれですか」
『俺はアンタのようにはならない!』
妹の魂はとうに天へと旅立っている為、骨と皮以外は全て人形である。
「バージル。お前の兄だ」
「バージル…?」
「ああ。好きに呼べ」
「お兄様、お茶を淹れましたよ」
ダンテはいつの間にか俺の世話人になった。魔術で作った人形として考えれば、従順で、命令を聞くのは勿論、様々な事柄を吸収する。視点を変えると、表情がなくなってしまった事が少し寂しかった。
「ダンテ、」
「はい」
「いつも済まない。」
「どういたしまして」
俺は紅茶を飲み干すと、閻魔刀を提げ立ち上がった。
魔界で立ちはだかる敵は以前より少なくなった。己の魔帝としての地位が確固たるものになるのも、最早時間の問題だった。
少々無垢なだけのか弱いその女は、ドレスの裾を翻し振り返った。
「お兄様、似合っていますか」
「ああ。凄くな」
「うれしいわ」
中に施した魔術の寿命が残り僅かである事に気付かない俺は、ただそれを静観しているしかない。永遠など有り得ない。全て承知していたつもりだった。この身勝手な遊びに付き合ってくれた、優しい本当の妹は、今頃天の上で笑っているのだろうか。