バーデンにて殉す
2様♀+ルシア親子ねた
長い尋問が終わって、今青い空の下にいる。足元には薪をくべられ、見世物目当ての人だかりが目立っている。
"あの体に火をつけたら、どうなるんだろうな"
"本性を現して、俺たちに襲いかかってくるんじゃないか"
"みろよ、あの真っ白な頭……"
ルシア、お前は今どこにいるんだろうな。可愛い、可愛い、私の娘。いつも私の事を労ってくれていた。
けど、もう心配はいらない。
ふたりで過ごした家の近くに、クチナシの花がたくさん咲いていただろう。あれが咲く頃にだけでいい。私との日々を思い出して欲しい。この身が灰になろうと、きっと会いにいくから。その時にもう一度、母と呼んでおくれ。
どす黒い煙と赤い粉が舞う。痛みなどとうの昔に失っている。始終穏やかな顔が不気味に映っているのか、民衆の喧騒が大きくなる。
ああ。ルシア、私の、たった一人の娘。私だけの光。お前を側に感じる。もう、怖くない。
了