言葉なんていらないよ
4N♀D→2N♀D R-15
住み込み三ヶ月目で、私は筆下ろしという名目でネロの童貞を奪った。
理由は――本人には言えないが、個人的に美味しそうな見た目だったのと、時折垣間見える兄貴の面影が気に入っていたからだ。
ネロは最初は戸惑ってはいたものの、本気で嫌がりはしなかった。こうすればいいのか?だのあんたは痛くないか?だの色々聞いてくるから、そういう妙に真面目なとこも含め、私はこの子の事を好いていたのだ。
情事の最中、ネロは何度も「あんたが好きだ」と耳元で囁いた。それがたまらなくて、今まで以上に乱れてしまった。
「初めてにしては上々だな」
笑って頭を撫でれば、ネロは枕に顔を埋めそっぽを向いた。可愛らしい子供だ。
「俺は…あんたを守りたい」
唯一の家族となったあの女性とは別の意味で、私を守りたいと彼は言った。最強の悪魔狩人と呼ばれる女に何を言うのか――そう思う所だったが、彼は本気で言っているようだった。
今ではその意味が分かる。
ネロは私が孤独である事を見抜いていた。表面では取り繕っていても、無意識下で寂しそうな姿を見せていたのかも知れない。
だが、私だってネロを守りたいのだ。兄を失い長い年月を経、やっと守るべき存在を見つけたのだから。
SEXのいろはを知ったネロは、有り余る欲を何度も私にぶつけた。味をしめたとはまさにこの事だ。あまりにも激しい為、翌日一日は声が出ない日もあった。笑える話、とんだ絶倫だったのだ。
そののち、ネロは無意識に私の魔の力も吸い取っている事に薄々気付き始めた。怖ろしい。さすが兄貴の子と言った所だろうか。
「おばさん」
「ん?」
「最近痩せたか」
確かに胴回りがすっきりした気もしなくはない。目の前にいる成長期の子供の為に、何度好物のピザを我慢して料理を作ってやったか。
悪魔狩りの際、リベリオンを握るのもややしんどく感じてきた。魔人化の回数まで増え、最近なんて真魔人化を覚えてしまう始末だ。
ネロも以前よりも更に力を付け始めている。このまま行けばいずれ魔人化も容易になる事だろう。
この頃は世代交代も悪くないと思えてきた。守られるのは性に合わない気がするが、
ネロにならば…
信じられる自信があるなら、最早語る言葉は必要ないだろう。私にはある。もう誰も信用すまいと生きてきた私が、ようやく手に入れた大切な存在。
優しく手をとりエスコートされるのももう慣れた。目の前にいる彼を見て、愛しさがこみ上げてくる。
年を取った自分を労ってくれる彼は、昔の若かった自分のように膨大な依頼の数をこなしている。
私はもう、ネロに依存しなければ生きていけない体となっていた。笑える話だが、それで良いと思っている。
まだ出会った頃より情事を控えてくれてはいるが、別に高ぶりをぶつけてくれても一向に構わなかった。私を削ってでも、先へ進んで欲しいと願っている。
そう、
私は彼を愛しているから。