Android of Notre Dame

特殊パロディN♀3D




女の子の赤ん坊が透明のケースに入れられている。上には被験体ナンバーが貼られていた。ラボにいた研究員達は赤子の誕生を奇跡と呼び、喜びに染まっていた。ただ俺だけを除いて。

赤子は限りなく人間に近い生物だが、やはり異なる生物である。いくら放射能を浴びようが、人体に有害な菌をどれだけ吸い込もうがそれらを全て無にする。

遺伝子操作を幾度も繰り返した結果、奇跡的に生まれたのがこの赤子なのだ。

俺はラボの一員でありながらも、赤子の誕生を素直に喜べないでいた。所詮人間の私欲によって生み出された産物である事を意識していたからだ。

透明の揺りかごの中で眠る赤子には名前がない。その代わりに、研究員達は研究所の名前からとって、尊敬を込めつつこう呼んだ。「ノートルダムのアンドロイド」と。


赤子の欠陥が発覚したのは後の事だ。赤子は猛スピードで成長していき、二日目には3歳位の幼児にまで育っていた。

赤子は短命だった。多く見積もって、二週間程度。研究員達は二週間の内にとれるデータはとっておけと、慌ただしさを見せ始める。

新米の俺が任された仕事はというと、実験中以外の監視だった。つまり、子守という奴だ。



ちゃんとした名前が無いのはさすがに可哀想だと思い、俺は彼女の名前を考えてやる事にした。

「ダンテ」

人間年齢で換算するとおよそ9歳になった彼女は、長い髪を揺らし振り向く。

「ネロ!」

お転婆な少女に成長したダンテは、勢い良く俺の腹に飛びついた。

「おはよう」
「よく眠れたかよ」
「うん」
「検温すっから、横になりな」

こんなどこにでもいる様な少女がアンドロイドと呼ばれている事実が、馬鹿馬鹿しく思えた。



六日目、ダンテが19歳になった日。研究所の外は雨が激しく降っていた。

「なあネロ。俺、聞いたんだよ」

俺、早死にするんだろ。

ダンテの言葉に、俺は何も言い返せない。否定の言葉が出て来ないし、気の利くセリフすら思いつかなかった。

「あいつらが、たったの二週間だなんてとか言ってた。二週間だぜ、少ないよなあ。俺、何のために生まれたのか…分かんないよ……」

分かんねえ事なんざあるか。ダンテに伝える言葉が思い付かない。どうすればいい。ちくしょう、ちくしょう



「俺、ずっとネロと一緒にいたいよ。こうして話してるだけでいいんだよ。なあネロ、このまま時が止まっちまえばいいのになあ………」







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