形違えども
4N♀D→2N♀D
その日のネロは何故か不機嫌だった。隣にいたダンテはどうしたんだと問いかけるも、ネロは横を向いてしまう。
そしてぼそりと呟いた。
「あんたさ。女の癖に、何でそんなに背があるんだよ」
「…そう言われてもねぇ」
ヒールはあるが、それもたったの3センチ程度。普通の靴とさほど変わらない高さだ。それを抜きにしても、彼女の身長は180いくかいかないか位まである。女性にしてはかなり高身長と言える。
「あたしも昔は結構小柄だったけど。まあ、坊やはまだ成長期なんだから、別に気にしなくても」
「うっせーよ。こっちはな、肩を並べる度微妙な気持ちになってんだ」
なるほど、背伸びしたい年頃という奴かとダンテは納得した。可愛らしい少年の自尊心に内心笑いつつも、ダンテは言った。
「それだけしっかり食ってしっかり働いてりゃ、将来は立派に育つさ。頑張れよ、少年」
「馬鹿にしてんな、あんた…!いいぜ、今に見てろ。あんたの背なんかすぐに追い越してやるさ」
「何呆けてんだ」
はっとダンテが我に返った時には、目の前にネロが不思議そうに首を傾け立っていた。
「……昔の事を」
「昔?」
「そうだな。…お前がこれ位だった頃だ」
ダンテは横にした手で自分の額辺りに触れた。それにネロは鼻で笑いながら、隣に立つ。あの時から10年近く立った今では、ネロがダンテを見下ろしている。
「そんなに小さかったか」
「ああ。私と肩を並べるのを嫌がっていた」
「…覚えてないな。まあ、これ位の差が丁度いいとは思うけど」
抱き心地がな、と付け加える恋人にダンテは肩口に顔を埋めひっそり微笑した。