マグノリア

若クレド×初代♀ 子Nと子Kもいます


フォルトゥナという都市に、エリーゼと名付けられた託児所がある。その施設には大体10歳から乳飲み子まで多くの子供が暮らし、ネロもまたその一人である。

ネロの両親はとう亡くなっており、父親の妹――叔母が保護者としてネロを育てている。叔母はネロと同じプラチナブロンドの髪を持ち、他者が見ても本物の親子のようだった。ネロが乳飲み子だった頃から二人でずっと一緒にいたのだから親子同然なのだが、どうしてか、お互い名前を呼んで生活をしている。

ともかくネロは不自由ない環境ですくすく育ち、年は9歳になる。集団生活に支障もないし、1つ年上のキリエというガールフレンドまでいる(今の子供は本当にませている)。



話かわって、週末になると必ずネロの元へ叔母が訪れる。週末は叔母と過ごすのが決まりだそうだ。ネロは素直に感情を表現できない傾向があるものの、保護者である叔母の前ではまだまだ甘えたがりの子供だった。

キリエがネロに向かって「じゃあね。また来週」と手を振る。ネロが門を出て見えなくなった後、二十歳くらいの若い男性がキリエの名を呼んだ。「キリエ、帰ろうか」
「兄さん」

上背のある精悍な体つきの男性で、キリエの実兄だ。

「クレド兄さん、いつもネロの叔母さんのこと見てるね?」
「!」
「きれいなひとだもんね」
「何を言ってる」
「内緒にしてあげるから」
「大人をからかうな、置いてくぞ」
「まって、兄さん」

妹の言うことは図星であり、クレドは初めて会ったときに彼女に一目惚れをしてしまったのだ。

クレドは若くして、都市フォルトゥナの防衛を担う教団のエース(官僚と呼ばれても遜色ない地位である)であり、超がつく程の堅物で有名なため、これが初の恋である。

珍しいが透き通るような美しい髪の色と、ネロのように深海色ではなく灰に近いアイスブルーの瞳、赤い唇。まるで木蓮を彷彿とさせる美しさだとクレドは思った。
それだけでなく、以前挨拶をした際に彼女の微笑んだ顔が、彼の心を完全に射抜いてしまったらしい。


道理でやけにため息をつく事が増えた訳だ、とキリエは思った。そして妹である自分が後押ししてあげなければと決心した瞬間だった。





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