コールドエッジ

ダンテーズ(性別どちらでも)と3兄貴。特殊?
痛々しい表現があります



「おい、生きてるか」

倒れている初代の第一発見者である俺は、とりあえずしゃがむとその体をつつく。

初代の上半身は出血が酷いせいか、大きな血だまりができていた。

「刺し傷だらけだな。しかもナイフか」
「……うるせーな……死んでねえよ」
「おはよう。さっき若と一緒だったろ?まさかそれ」

そのまさかだよと、初代は皮肉めいたように口角を上げた。





「兄貴をここに住まわせる!?何で?」

それは斯々然々あり各地(ひょっとしたら、世界かも)を散歩しているバージルを労る目的で提案した。若以外の俺たちは全員賛成だったが、若だけは頭を縦にふらなかった。

俺たちにとってはもう過去でしかないが、あのデカい塔で派手にやりあったばかりの若はバージルに対し色々と思う所があったようだ。

「大丈夫だ」

若の頭を2様が撫でながら言う。

「全力で止めたお前の気持ちはもう、兄貴は理解してる」
「ああ。万一何かあっても俺たちが何とかする」

初代も肩をすくめて同意した。



俺自身も何とかなるだろうと軽く考えていたが、バージルが住むようになってからは次第に雲行きが怪しくなっていった。

戻ってきたバージルは昔の姿のままで、自分の立場を忘れ俺たちは実の弟みたいに毎日可愛がった。若はそれを遠目に眺めているといった感じだ。

特に、2様がバージルの頭を撫でる時の若の表情は見ていられない。あんた達がどうであれ、俺は絶対にバージルなんかにかしずいたり(別に、純粋に可愛がっているだけだが)しないぞといった目をする。俺もついつい甘やかしてしまうので、あまりどうこう言える立場じゃないけどな。

不意を突かれたと初代は嘆く。片足だけ胡座をかいて座っている辺り、もう傷は塞がっているらしい。

「お前ら、何があったんだよ」
「別に大したことねえよ」
「まあいいから。言ってみ」


「……バージルとキスしてる所見られた」

成程、俺はとんだ思い違いをしていたようだ。






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