否、第一の人生かも
※意味不明
初代♀と若♀と3兄貴
描写ないけどR-15
「バージル」
白黒の雑多な風景の中で一人ただ佇んでいると、向かいの通りにいた女に声をかけられた。
「だれだ」
「酷いな。あんたの可愛い妹だろ」
妹と言われれば確かにそうかも知れないが、ずいぶん年上のようにも思える。
「様が変わった」
思ったことを口にすると、妹は手を口許に添えて笑い出す。
普段そんな上品な笑いかたはしないし、どちらかと言えば大口を開けて笑うイメージがある。
それに若い女の特権とばかりに露出を好んでするのだが、かなり落ち着いた出で立ちだった。
「あんたが下品だって言うから、変えたんだよ。嫌か?」
不安めいた顔つきだ。ただ下品というより、内に悩ましさを秘めている。
「別に」
「ならいいさ。折角来てくれたし、事務所でコーヒーでも飲んでくか」
俺の腕を引いて歩く妹の横顔を一瞥してみると、かなり上機嫌な様子だった。
「これは夢だ」
「だからなに」
ソファに座った妹は動揺する事なく端的に返す。
「構わないさ、夢だろうが何でも。」
「いつまでも眠ったままでいろと?」
「夢は第二の人生って言うだろ」
妹はいつの間にかすぐ隣に来ていて、腕を首に回される。
「ずっとこうしてればいいさ。普通に飯を食ったり、セックスしたり」
「妹はどうする」
自分で言っていて何が何だかよく分からないが、通じたらしい。
「あんな奴ほっておけ」
嫉妬しているのか、憎々しげに言い放った。
夢は第二の人生。確か、誰かが遺した言葉だ。
「離せ」
「や」
「また来る」
腕の力が緩む。
「今度来たときは、俺を選べよ」
「考えておく」
夢から解放されて最初に行った事は、妹の安否確認だった。
寝室のドアを強めに開け、妹の名前を強めに呼ぶと、驚いた妹がベッドから転げ落ちた。
「バージルが寝惚けてんの初めて見た」
妹は指をさしてけらけら笑っている。それを見て段々馬鹿馬鹿しくなり、とりあえず一階へ降りることにした。
妹が後ろ手に拳銃を持っていた事は知る由もない。
了