I'll be waiting for you e***.

ネロアンと初代♀




父親の顔はもう思い出せない。

剣を授かるまでの俺は、同年代のガキ共に容姿を貶されぴーぴーと泣いていた、ただの非力な幼子だった。

物心ついてすぐ、剣の才を開花させた兄を見て、このままではまずいと危機感を抱いたんだろうか。母に着せられていたドレスを嫌がるようになって、遅れをとるまいと剣術に励んだのだ。

いつの間にか、まだ帰らない父を待ち続ける母と共にいて、差を広げられた兄とは仲が疎遠になっていた。俺には何の感慨もないといった態度をとる兄が、母に微笑んでいる姿は新鮮であり、何処と無く寂しい気はしたけれど。


燃え盛る屋敷の中で懐に隠すよう俺を守る母は、俺の首にさがるアミュレットを握り、小さく父の名を呼んでいた。

「お願い」「どうか戻ってきて」

母は悪魔に体を貫かれる直前まで、父の帰りを希っていた。






「もう平気だ。バージル」

冷たい感触に目を細めながら、ダンテはか細く呟いた。赤いコートは無惨にも穴が開いていて、そこから鮮血が止めどなく溢れる。それは
どう足掻こうと助からない事を意味していた。

バージルは聞き入れずに先を歩もうとするが、それを彼女は許さなかった。


「先に倉庫がある……複葉機に乗って、この島から脱けろ。俺が追っ手を始末する間に」

彼女は気丈な口調で告げ、フォースエッジをバージルに渡した。

「お帰り、生きていて嬉しかった」

首にかけていたアミュレットを外し、その手に握らせながらダンテは笑う。バージルはアミュレットを握ると、彼女の腕を引き深く抱き締めた。






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