la mia piccola felicita`

1V♀Dと子N。家族ぱろ





土砂降りの雨の夜、家のドアを叩く音を聞いた。

「ごめんなさい、突然」
「家はどうしたんだ」
「………」

妹は全身びしゃ濡れだった。俺は積もる話もあろうと、妹を家の中へ招いた。



「俺、子供産めないみたいなんだ」
「……」
「役立たずの穀潰しはもういらないって言われて、追い出されちゃった」
「……」
「一晩でいいよ。明日の朝には出て行くから…駄目?」

妹の体は嫁ぐ前より痩せ細っていて、顔色もあまり良くなかった。

「何とかしてやる。それまでは此処にいろ」
「悪いよ。あんた、子供もいるんだろう」
「黙って俺に従え。もうこれ以上心配をかけるな」
「………」


「ごめんなさい。」

あんなに明るかったのに、すっかり静かになっていて、それが少しばかり怖かった。



あいつが余所に嫁いだのが17の頃だ。あれから3年以上経つ。俺が言うのも何だが、妹は器量は優れている方だし料理も美味いから、嫁の貰い手がつくのも早かった。

しかし残念な事に、授からない体とみなされたのはどうやら本当だったようだ。

「みんなが言ってくれた通りにちゃんとお行儀良くして、家事だって頑張ったんだけど。俺ってホント、駄目な奴…」
「お前が悪いんじゃない。もう忘れろ」
「へへ、ごめん。ありがとう」

笑ってはいるが、今にも泣きそうな顔をしている。



朝が訪れ、妹の事が気掛かりだった俺は彼女がいる部屋に入った。既に妹は起きており、嫁ぎ先から持ち帰った荷物を整理していた。中には、もう使われる事はない産着や玩具もあった。

「バージル」
「…何だ?」
「これ、ネロにあげたら?」

ダンテは俺に熊のぬいぐるみを差し出してきた。かなり大きいサイズだ。


次に取り出したのは簡素なウエディングドレスだった。夫と住んでいた家が南の地方だったためか、その文化が反映されている。北育ちであるダンテの肌は元々白かったが、太陽が近かったせいかすっかり日に焼けていた。

「それは、どうするんだ」
「いっそ質屋にでも入れようか?きっとお金にはなると思うし」


「でも…これがなくなったら、俺……何にも…」

過去を思い出しているのだろう、啜り泣き始める。

「いっそ消えていなくなれば、あんたにも迷惑かけないのにな」
「家族の前でそんな事を口にするな」


「あんたってそんなに優しかったか?」
「………」
「ごめん。ちょっとからかい過ぎた」

太陽の光が隙間から差し込み、妹の顔を照らす。こうして見れば、母と同じ端正な顔立ちをしていたのだと分かる。

まるで一枚絵のように笑うこいつを、愛おしいと俺は思った。











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