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擬人化グリフォンと初代♀
R15
魔帝は戦いに敗れたスパーダの娘を生け捕りにし、脳の一部を取り除き従順な人形にした。以降スパーダの娘は口がきけなくなり、マリオネットのような不自然な動きで歩いている。あの余裕ぶった戯言が二度と聞けなくなるのは、少し寂しい気はするが、裏切り者には処罰を与えなければならない。
ファントムが面白がって娘の手足をもぎ取り行為に及んでいた。女は壊れた機械のように、途切れ途切れに喘いでいる。
手足はまた再生するから別段問題ないが、それにしても、いつまで生かされたままでいるのか分からない。女の存在意義など最早無いも同然であるというのに。
ネロアンジェロの復活する日は近い。ほんの僅かの欠片から再生され、殆ど形を取り戻している。確か、この悪魔は娘と同じスパーダの血が流れている。つまり血縁である。ネロアンジェロがこの女を見たら、一体どんな反応をするのだろうか。
女が私の周りをうろつく事が増えた。いつものようにファントムの玩具にされていたのだろう、ドレスの裾が血まみれだった。女は脳の大半を破壊された為、ものを考えたり、思い出したりする事ができない。何度もファントムに傷つけられた所で、数分もすればまた忘れてしまうのだ。
女は壊れたように私の周りをくるくると踊っている。
気を逸らさせる為に、私は丁度花瓶にさされてあった花を女に与えた。女はそれを見つめ、しばらく動かなくなった。悪魔の私から見ても、その時の女はやけに美しく映った。
白い唇が確かに紡いだのが分かった。
「私を殺して」