Say,good bye

3V♀D 主人と奴隷ねた



バージルと俺は血の繋がった双子だ。だがこの地のしきたりにより、バージルが生まれた屋敷の主になり俺は奴隷として働かされていた。

バージルと俺は生まれてすぐ引き離されてしまったから、他人同然のようなものだった。けれど顔はそっくりだから、互いに不思議な気持ちでいたに違いない。

バージルがお役目で疲れ切っている俺を寝室に呼ぶ事もある。機嫌のいい時はベッドの上で可愛がってくれるから、俺はそれが嬉しくて仕方なかった。

平時は冷たい人だけど、時折優しくなる手つきが好きだった。だから俺は今の生活が嫌だとか思ったりしなかった。

過酷な仕打ちを受けても、バージルに素敵な人ができていても、幾度季節が移ろっても、俺は屋敷のために働いた。






今夜の食事は豪華だった。今日はクリスマス、という行事らしい。あまり知らないのでよく分からないけれど。

最高に美味しいものを口にしている隣で、バージルは「美味いか」と微笑んで聞いてきた。俺は子供のように笑って頷き、綺麗に平らげてしまった。

でも本当は知ってたんだ。



この食事には毒が入っていたこと。

バージルは新しく入ってきた使用人の女の子に執心していて、俺のことなんかもうこれっぽっちも興味などないということも。

血が繋がっていようがいまいが、奴隷は所詮奴隷だ。用が済めばいつでも処分できる。

俺はこの後しばらく苦しみ、血反吐を吐いて死んでいく。それでも俺はバージルが大好きだから、最期まで知らない振りをしたままでいたいと思った。

さようなら、ありがとう。と、心の中でそっと呟いて。







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