∴ 墜ちていく時の 甘い香り
まずい。

妖は基本的に単独行動が多く、俺とニャンコ先生が協力すれば大抵は追い払うことが出来ていた。
またほとんどが攻撃するという本能のみで動いていて隙を突けば逃げることは容易く、今までなんとかギリギリのところで助かっていた。
けれど今回は違っていた。

相手の妖は3匹で事前に話し合い、結託している様子でそれぞれが襲いかかってきた。
ニャンコ先生が傍に居ない時をわざわざ見計らい一人が正面から、残りが背後から近づいてきた。
あまりに突然のことで目の前の妖に対処するのが精一杯で、あっさりと後ろから両腕と両足を掴まれたと思った瞬間に意識が途切れた。

次に気がつくとさっき意識を失った場所とは明らかに違う、昼間なのにかなり薄暗い場所に寝転がっていた。
覆い茂った木々に囲まれじめじめとし風も無く、虫の気配すらないような不気味なところだった。
それに加え視界がなんだか頭がぼんやりとして考えがまとまらず、どうしてか体がぴくりとも動かせないでいた。

これは…本当にまずい。

『おい、コイツ起きたぞ』
『やっとお目覚めか』
『待ってたぞ”夏目”』

「あ………ッ…」

声のした方を向こうとして体が動けないのを思い出し歯噛みした。

『自分で動けないで悔しいか?惨めだなぁ』
『人間を捕らえる時によく使う薬みたいなのを使ったんだよ。力の強い奴の方が効きやすいみたいだな』
『怖いか?怖いだろ?たまんねぇなぁその怯えた顔』
『じゃあそろそろ始めるか』

姿の見えない妖達が遠慮のない罵声を浴びさせてきて、本当に不快だった。
友人帳のことは全く口にしていないところがこれまでの者達と違い、嫌な予感がしていた。

「な…にを…やめろっ…」

抵抗しようにも指一本でさえ微動だにせず呂律もあまり回らないうえに、靄がかかったような頭では言葉も上手くでてこない。
それぞれの妖怪の手が全身を這い回り、どうしてかシャツの前を破りはだけさせズボンと下着を一緒にして乱暴に脱がした。

「うわっ…やめ…ろって!」

これまでの慎重な行動から、ただ人間を襲い殺すのではないと思っていたが全く意味がわからなかった。
いくら妖が相手だからといって一方的に裸にされ、恥ずかしさで顔が真っ赤だった。

『本当に嫌なのか?』
「は?」

なにを言ってるのだろうと思った。

『ははははっ、夏目お前ここ勃ってるぞ!』
『服脱がしただけなのにもう感じてるのか?』
「え、えええええっ!?ど…うして…?」

言われて混乱した。
妖達の言葉通りに少しそこが大きくなっていて、わけがわからなかった。

『オレ達は人の肌から直接力を奪うんだが、ただ奪うよりは相手が快楽によがってるところを吸い取る方が美味しいんだよ』
『さっきお前に使ったやつは媚薬効果があるみたいでな…力のある奴はすごいことになるらしいんだよな』
「………ッ!」
『安心しろ殺さないがたっぷり気持ちよくさせてやるよ』

さっきから胸の動悸が激しくて、呼吸が乱れていたのだけれどそれがより一層強く感じられた。

「い…やだ…やめ………っああぁ…!」

急に体勢を変えられて上のシャツを腕に引っ掛けたまま、四つ這いにさせられ尻を軽く撫でられた。
触れた手は人間のものより冷たく驚きで声をあげてしまった。

『いきなりそんな声させて、まだまだ楽しいのはこれからだ』
『ひひひっ、たくさん感じてくれよ』
『嫌がりながらも体は性欲に溺れてくってのが最高にそそられるんだよな』
「うっ…くうぅっ…」

こっちの感情なんかおかまいなしに胸やお腹、尻と徐々に触れる部分を増やし行為はエスカレートしていった。
やがて口から出る声に艶っぽさが加わり、下半身が熱くもたげてきていた。

「ふ…あぁっ…ん、うぅ…はぁ…」

こんな妖怪なんかに好き勝手にされて悔しいのに、体は全くいうことを聞いてくれない。
薬のせいとはいえこんな浅ましい自分は見たくなかった。
せめて声を抑えることで妖達に抵抗したかった。

『我慢強いんだなぁ、けどそれじゃ困るんだよね』
「ひっ…ああぁあッ!?」

それまでゆっくりとしていた手の動きが一斉に激しく蠢きだし思わず叫んでしまった。

「ふあぁ、あ…くぅ…うぅ…あはぁ…」

一人が胸のわずかにぷっくりと膨らんでいる先端を指で弾いたり摘んで引っ張りあげる。
もう一人が片手で尻を撫で回しながら穴の周りをくすぐったりして筋肉を緩める。
そして残りの一人が巧みな動きで前を上下に扱い完全に勃起させ、先からは先走りの液がこぼれ始めていた。

「や…だぁ…うはぁ…あぁあ…はぁはぁ…」

もう理性だけで性欲を抑えるのは限界だった。
同時に感じるところを荒々しく突かれという経験したことのない出来事に、流されるほうが楽なのはわかっていた。
けれどそれだけは、絶対に避けたかった。

『随分よくなってきたな。そろそろいいんじゃね』
『そうだなこれなら、いけそうだ』

尻を触っていた妖怪が手を離し暫くすると、穴の辺りに冷たくぬるぬるとしたジェル状のものが塗りたくられていった。

「ひっ…くあぁっ………あ…あぁ…あ、つぅ…ん…」

指でぐちゃぐちゃと尻の周辺を擦らせていると段々とそこが熱を帯び、何とも表現しがたい感情が湧き上がってきて口から漏れた。

『こりゃいいな、前にも塗ってやるよ』
「やだ…あああぁ…っ………はあぁ…んああぁ…」

液体が前にも塗られ滑りのよくなったそこを手が行ったり来たりし始めるともうだめだった。
腰をよじって体勢を変え快感から少しでも逃れられればまだよかったのに、動けない体では受け止めるしかなかった。

「ふぁ…はっ、はぁ…ああぁんっ…あはぁあ!」
『ははっ、押してただけなのにコイツ自分から尻に指入れやがったぜ。なんだ、早く欲しかったんだな』

後ろに急に異物が入ってきた感触がして腰がぶるぶると震えた。
全く動かないと思っていた体がほんの僅かだけなら動けるようになっていた。

「やぁ…っ、抜…いて…はあぁ…あっ…あああぁ…うごかさな…いでっ…くぅ…」

中に入った指が奥に進んでは入り口付近まで戻り、ということを繰り返していて遂にはその部分でも快楽を感じるようになっていた。

『今度は腰揺らして悶えてるぞ、こりゃすげぇ尻もきゅうきゅう締めつけてきやがる』
『乳首も随分勃ってきて自分からぐりぐり押し付けてんじゃねぇか?』
『おぉ、二本目もあっさり入ったぞ』
「うああぁ…や、やだ…うぅ…もう、や…めて…はぁあっ…」

何の前ぶれもなく指が増やされ、中を広げるようにしながらぬちゃぬちゃと下品な音を立て動いていた。
ここまでされたらもう耐えられず、目からはボロボロと涙を零し始め恥も悔しさも忘れ哀願した。

『なに言ってるんだ?本番はまだまだこれからだ』
『はは、さっきまでとは別人みてぇに素直になったな。これなら口使ってもいいよな』

胸を触っていた妖怪がいったん離れて、ごそごそと何かを顔の前で取り出し見せ付けるようにしてきた。

「あ…っ…そんな………」
自分のとはあまりにも違いすぎる大きさとグロさに目眩がした。

『全部は入らないだろうが、口ん中入れてやるよ』
「ま…うっ…むうぅっ…んぐ…んんっ…ん…」

制止する間もなく強引に口の中にそれを押し込んできた。
当然半分くらいしか収まらず、必死に鼻で息をするのが精一杯だった。
妖怪の液と自分の汁液が混ざり合い、唇からだらしなくぼたぼたとこぼれていった。

『今のお前なら口でも感じるぜ、そらっ!』
「ぐ…ううぅっ!ん…むぅ…んんっ…うむぐぅ…!」

妖が前後に激しく動くのに合わせて喉の奥が焼けるように熱くなり、頭ががくがくと振動した。

『おおっすげぇ!夏目の妖力がスゴイ勢いで流れこんでくるぞ!』
『こっちもイかないようにしてるけどそろそろ限界だ』
『じゃあトドメを刺してやるか…そらっ!』

後ろの穴をいじっていた指を抜いて、妖怪自身をその部分に押し当て体重をかけながら一気に貫いた。

「う…ぐぐぅううぅんっ…んーんぐぅっ!むううぅぅんっ!」

挿入されたのと同時に我慢していたモノも果ててしまった。
白い液体が勢いよく飛び散りそこを握っていた妖の手を汚した。

『こりゃすごい力だ…けどまだまだこんなんじゃ終わらない、全部吸いつくしてやるよ夏目』

繋がっている部分から何か急激に力が抜け取られていくような気だるさを感じながらもどうすることもできなかった。

(体中が熱い…あぁ…もう早く、早く終わって…こんなの…)

妖怪は殺さないと言っていたから、耐え続ければそのうちこの行為も終わるはず。
大人しく身を委ねて早く過ぎ去るのことを願った。
一度出してしまったモノがもう大きくなってビクビクと震えていることは考えないようにして…。



『おい、もう限界だ口に出すぞ…きっとこれ飲んだらまた体が疼きだすぜ、全部飲めよな!』

顔の前で出し入れしていた妖が首の付け根を掴み、喉奥まで乱暴に押し付けたところで中に出した。

「んぶううぅぅ…ごぶ…んぐ…く…んぅ…くううぅ…んくっ…っあはあぁ、はぁ…」

飲み込みたくなかったけれどあまりの量に息ができず仕方なくごくごくと飲んだ。
収まりきらなかった液体が大量にこぼれ地面を白く汚した。
暫くして口が解放されると、一気に空気を吸い込み少しでも息を整えようと努めた。

『へへっおいしかったか?なぁ?』

顎を荒々しく掴まれまるで強要するように顔を近づけてくる。

「うっ…」

きっとここで頷かなければもっと乱暴なことをされるのは目に見えていた。

「お………いしかった、です…」
『ははっ、精子がおいしいなんて変態だなぁ夏目』
「…っ」

妖は下品な言葉で二言三言罵倒した後、満足したようにその場から離れていった。
悔しかったけれど、ほんの少し安堵した。

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