惚れた弱み。
俺は、つくづくエースに甘いと思う。
エースは俺の恋人だ。
一回りも歳が離れた恋人に、年甲斐もなく溺れてるのは自覚している。
今だって、そうだ。
「…スモーカー、何考えてんの?」
先程から俺の膝に座ってお菓子だのアイスだの甘ったるいものを食べながら楽しそうにテレビを見ていたエースが、今は少し上の空になっていた俺を見て少し拗ねたように頬を膨らませている。
「お前の事だ。」
少しくせのあるエースの黒髪を撫でながら優しく囁いてやると、
「…じゃあいいけどっ、」
…と、ふいっとまた前を向いてテレビを見出したエースの耳が真っ赤になっているのを見て、自然と頬が緩んでくるのがわかる。
あぁ、なんでコイツはこんなに可愛いんだろうか。
今まで様々な奴と出会って、関係を持ってきた。
しかし、コイツほど俺の心を揺るがす奴はいない。
「…エース」
チュ、と軽く耳に口付け、エースを抱く腕の力を強くする。
「ん、なに?スモーカー」
まだ少し頬を赤く染めながら軽くこちらに振り向いてきたエースの唇に、何度も甘いキスを贈る。
「ん、…ふぅ、すも…か…」
潤んだ瞳がだんだんトロンとしてき、ギュッっと俺の腕を掴むエース指先がまた愛しくて、シャツの中に手を遣わすと軽く抵抗を示してきた。
「っあ、だめ…」
「…何でだ?」
「今チョッパーマン、が…、んっ」
…チョッパーマン…。
そういえば何日か前から、大好きなアニメのスペシャルがあると言っていた気がする。
それが今日だったのか。
道理で、今日のエースはやたら袋一杯お菓子買っていたし(正確には俺が払ったんだが。)、そわそわと時計を気にする姿もあった。
…コイツは本当に二十過ぎの男か?と、多々思うことはあるが、そんなに楽しみにしてたならしょうがない。
「…見るか。」
「うん!」
シャツの中の手を引っ込め、またさっきの状態でエースを膝に抱き抱える。
画面の中のおにぎりみたいなものや恐竜らしきものが少し恨めしく思うが、腕の中のエースがニコニコと楽しそうに笑っているから、…まぁいいか、と思ってしまう。
やっぱりどうしても、コイツには甘いな。
「あ〜面白かった♪やっぱチョッパーマンはすげぇなぁ♪」
あの後何時間かに渡って送られたアニメは、最後鼻の長いやつが吹き飛ばされて終わりをつげた。
あんなに大量にあったお菓子の山も、今はもうすっかりこいつの胃袋の中に消えていった。
「楽しかったか?」
「おうっ♪」
先程から上機嫌なエースの頭をよしよしと撫でてやると、甘えるように首元に絡みついてきた。
「なぁ、スモーカー?」
「ん?」
「今度はさ、外でデートしてぇな。」
「あぁ。どこか行きたい所でもあるのか?」
「う、ん。…けど…来てくれる?」
少し不安げに見上げてくるエース。
…そんなに俺が行きたがらないような所なのか?
嫌な予感がしたものの、一応聞いてみることにした。
「…どこに行きたいんだ?」
「…あのな、今度チョッパーマンのイベントがあるんだ。で、スモーカーと一緒に行きたいなぁ、って…」
「………。」
チョッパーマンのイベント…。
…そんないかにもガキが沢山いそうな所に、20代30代のいい歳した男が2人で行くのは一体どうなんだろう…。
……だが…
「…やっぱだめ、か?」
…どこで覚えてきたのか、軽く涙目の上目使いに見つめてきた。
狙ってるのか、素なのか。
前者だったらかなりたちが悪いが、これは……効いた。
「……いや、行こう。」
「っほんとか!?うわぁ、スモーカー大好きっ♪」
今までの不安げな顔からパッと満面の笑みになり、きつく抱き着いてきたエースを優しく抱き留める。
安易に想像出来るあまりに不釣り合いであろう自分の姿に苦笑いしながらも、コイツのこんな笑顔が見られるなら一度ぐらいは我慢しようと思える。
知り合いに出会わないことを心で祈りながら、可愛い恋人の唇にキスを落とした。
END
×××
こん…っな素敵なスモエー小説を
頂けるとは…感無量です(O.O;)
エースが!純粋で…アワワ…か わ ゆ いのです!
それに乗せられる大佐もまた…(←何だ)
あぁいつかはこんな愛のある文章を
この手で書いてみたい…
千明様、ありがとうございました!!
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