久々知兵助
※現代パロディー


長い




幽霊が見えるのはたまたまチャンネルがあったときにふと視界にうつる感じってよく言うだろ?本当にあんな感じなんだよ。別段普段からそこかしこに幽霊が見えるわけじゃなくて、ほんとたまに見える。これはつい最近俺が体験した話。


バイトで働いている店でよく幽霊っぽいものを見かける。閉店業務中に泥棒よけのネットを張っていたらその向こうに中学生くらいの男の子が立ってたりとか、スタッフしか入れないような業務カウンターの内側に三歳くらいの子供が走りまわってたりとか。まあ害はないし気にしないようにはしてたんだけど。見た目も普通だったし。


俺は基本カウンターでレジ接客をしてる。入り口横にあるカウンター内で店の中見回しながらの作業がほとんどだ。

暑くなってきて客が少ない日も多くなってきてて、手持無沙汰なときがあったりする。所詮バイトだから任される仕事もたかが知れてるし、ちょうど月の終わり近くだったからチラシ折りもないしへたにポイントカードとか切っちゃうとあとで数える人が面倒ってことで本当にすることがなかった。仕方なしにちらほらいるお客さんを見つつ時間を過ごしていると店の奥の方で天井から何か黒いものが降ってきた。遠めだったからよくわからなかったんだが、黒い毛玉をごちゃごちゃにまとめてまるっぽくしたような、人の頭の3倍くらいはあった。見に行こうとも思ったんだが何もない天井から実際にそんなものが落ちてくるわけがないことは明らかだったから無視して昼ごはんを食べに裏に下がった。

昼の休憩から戻ると少しレジが慌ただしく込み合ってて、レジやってた女の子を休憩に行かせながらふとさっきの黒いのが落ちてったあたりに何か大きなものが突っ立てた。天井につきそうなくらいでかいそれは真っ黒で、はじめは他のスタッフがはしごで何かの作業をしているのかと思ったんだけどそれにしては黒過ぎる。レジの作業中もそれが気になってはいたが一番店が込み合う時間だったこともありすぐに忘れてしまった。

今考えるとあれ、姿形が人だったんだよな。人間を上に伸ばせるだけ伸ばしたような、異様に首とか腕とか胴が長い人間。目とか口とかは全くついてなかったんだけどそれがこっちをじいっと見ていたのだけはなんとなく覚えている。



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