竹谷八左エ門
不破雷蔵
鉢屋三郎
※現代妖怪パロディー


憑き物つき




「なぁなぁ竹左エ門」
「誰だそれ」
「愛称。またを渾名」
「…そうかよ」

学校で出された課題を進めるのに机に向かう俺の隣にでろりとうつ伏せでだらける三郎の尻尾がばふんと畳を叩く。ホコリがたつからやめろと何度言えば。

「だめだよ、三郎。はっちゃんが珍しくやる気なのに」
「雷蔵さんや、いっこ余計なんじゃないかね」
「え?あ、ごめんね」
「天然なら仕方ない」
「プリチィ雷蔵はやらんぞ!」
「うっせえよ」

軽く握った拳骨の甲でコツンと三郎の頭を叩く。不満だったらしい和服から覗く三郎の足がばたばた畳を蹴る。だからホコリが。


いきなりだがこいつらは人間じゃない。むかし、ばあちゃんの家の近くでボロボロになった鼬を助けた。腹が減って弱っていたところを車に跳ねられたのか、添え木やら止血やら出来る限りのことをしたが正直治るとは思っていなかった。次の日には寝かしといたカゴの中ももぬけの殻だったし。

で、自分ちに帰ってきたらこいつらがいたわけだ。はじめは変質者かとも思ったが俺が巻いた包帯だとか、目の前でちっこい鼬に変化されたりしたら、なんかもうどうでもよくなったっていうかさ。別に害はないし。三郎は五月蝿いけどな。

手に持っていたシャープペンとただただ眺めているだけだったテキストを机に投げてジーンズのポケットに財布があるのを確認して腰をあげた。壁に背を預けて本を読んでいた雷蔵の耳がピクリと動く。

「どこか行くの?」
「ちょっとそこのコンビニまでな」
暑いからアイスでも買ってこようかと
「じゃ、僕も行こうかな」
「!不破雷蔵あるところっ」
「はいはい」

八左エ門が玄関の扉を開けてから閉まるまでのほんの小さな隙間に、女の血走った目が恨めしそうにこちらを見ていたのを知る二匹はにんまりと笑みをつくった。おまえにゃやらんよ。なんちって


「私チョコミント。カップアイスー」
「あるかわかんねーけどな」
「僕もチョコミントにしようかなあ」
「お、珍しく雷蔵が迷わない」
「だって三郎が選ぶのって絶対おいしいし」
「…きゅん」
「きも」



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