不破雷蔵
※現代パロディー






最近、執拗な視線を感じる。

学校や家族と居るときなどは気がつかないのだが、夜、一人で自室に居るときに限って背筋がぞわ、とするのだ。恐る恐る振り返っても、もちろん誰も居ない。
最初のうちは気のせいか、考えすぎなのだと思った。しかしそれが毎晩のように続くのでもう怖くて怖くて、誰か居るのだと、そうとしか思えなくなっていた。

その日も、やはり視線を感じた。
一人自室で机に向かい、学校の課題に取り組んでいるときだった。不意に寒気がして、背筋に冷たい汗が伝った。誰か、居る。見ている。
深く息を吸い込んで、覚悟を決めた。勢いよく振り返る。

誰も居ない。

気負いを吐き出すようにため息を吐いた。やはり気にしすぎなのだろうか。
伸びを一つ、気分転換でもと思って立ち上がり、窓に引かれたカーテンをシャ、と引いた瞬間、凍りついた。

背後に立っている誰かと、目が合った。
―――と思った人影は、背後の壁に掛けられた姿見鏡に映った、自分自身だった。部屋の中の光が窓に反射して、それが後ろに人が立っているように見えただけだったのだ。
思い込みって怖い、思わず笑った。
カラリと窓を開けると、生温い風が頬を撫でた。気を取り直して机に向かう。
そこで、ふと気がついた。



―――目が合った?



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