鵺式。
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※百合作法 藤内視点




「それにしても、喜八郎は巧くなったな」

次には奪われてしまうかも知れないな、と感心する仙蔵に、喜八郎はまるで子供のように胸を張った。

「滝ちゃんとタカ丸さんで、練習してますから」
「ふむ、なるほど。復習に、予習か」

偉いじゃないか、と仙蔵が頭を撫でてやると、喜八郎は猫のように目を細めた。藤内はそれを傍で眺めながら、全く、練習台にされる二人には災難なことだ、と心の中で溜息をつく。
ふと気が付くと、藤内の隣に座っている兵太夫が、こくり、こくり、と船を漕いでいた。その隣の伝七は、兵太夫の肩に頭を乗せ、完全に夢の中のようだった。

「おや、おや、」

気が付いた仙蔵が、声を殺して笑った。藤内も思わず釣られて笑みが浮かぶ。
仙蔵、喜八郎、藤内の三人で静かに手早く人数分の布団を敷き、その中にそっと兵太夫と伝七を横たわらせる。あんまり気持ち良さそうな寝息に誘われたのか、喜八郎も大きな欠伸を一つ、布団の中に潜り込んだかと思うと次の瞬間にはもう寝息を立てていて、仙蔵と藤内はまた顔を合わせて笑った。

「…消すぞ」

藤内が布団に入ったのを確認して、仙蔵は灯篭に手をかけた。
はい、と答えると、天井に映った明かりがゆら、と揺れて、ふ、と消える。闇に慣れない目を瞬かせている間に、すぐ隣の布団に仙蔵が潜り込んできたのがわかった。
左から、仙蔵、藤内、兵太夫、伝七、喜八郎、と並んで眠る。なんだか不思議な気分だったが、居心地悪くはない。
不意に仙蔵の腕が伸びてきて、藤内の髪をさらり、と撫でた。一瞬どきり、とするが、その手がまるで眠れない子供をあやす様に何度も何度も撫でるので、むず痒いような気持ちになった。暖かな手に、どうにも安心してしまって、子供のようにうとうとと睡魔に襲われる。
抗えず徐々に薄れていく意識の中で、ぽつり、と仙蔵が呟いたのを聞いた。

「私は、幸せ者だな」

夢現の中で、どういうことだろう、という疑問と共に、その言葉は溶けて消えた。






泥のような情に塗れ






10.09.07
何が書きたかったかと言えば、百合作法の乱kぱーt(ry

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