鵺式。
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※学パロ




ここ数日、教室の教卓の上には日に日に豪華になっていく花が飾られている。担任は酷く喜んでいたが、これは誰が用意したのか、と問うても誰一人名乗り出ないので首を傾げていた。
しかし表面上風紀の整っているかのように見せかける教壇の花など心底どうでもよく、それよりも珍しくささくれ立っている様子の仙蔵に、伊作は首を傾げていた。
未だ義務教育を脱していないとはいえ、彼らはそこまで子供でもないと思っていた。これまでそこそこに友人として付き合ってきたけれど、二人の喧嘩といえば仙蔵がからかって文次郎がそれに反発する、それがお決まりのパターンだった。今回のようなお互いに悪意を丸出しにした罵声の応酬、次いでまるで互いが存在していないかのような対応。暴力こそないがこんなことは初めてで、伊作自身どう仲介に入ったものかもわからない。
そもそも、ここまでの喧嘩に発展すること自体が想定外だ。二人は家族ぐるみの付き合いで本当に古い幼馴染だというし、実際近過ぎず遠過ぎず、二人にしかない絶妙の距離間を持っていて、近寄り難い時すらあるほどだった。こんな喧嘩をするまでもなくお互いのことは理解しているのだと思っていたのだけれど。

「…何があったの?」
「何のことだ」

身も蓋もない。取り付く島もない。
仙蔵だけでなく文次郎ですらこんな様子なのだから、間に入る伊作としては身を小さくして黙っていることしかできない。その沈黙の重さといったらもう。
友人とのより良い関係のため、引いては自身の胃痛緩和のため、どうにか丸く収まらないものだろうか。

「無人島に二人で流れ着いて協力しないと生きていけなくなった、とでも考えてさ、仲直りしなよ」
「その時は潔く散る」
「………」

処置、なし。伊作は早々に匙を投げる。
どうかこれ以上やっかいごとに巻き込まれませんように、ただそう祈るのみだった。






10.04.28
「お前、もし俺と世界で二人きりになったらどうするよ」「潔く散る」

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