鵺式。
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※学パロ




桜舞う、春。
暖かな日差し。真新しい靴。期待と不安の入り混じった、なんとなくむず痒い新学期。
誰もが浮き足立った中、季節外れの台風が局地的に上陸していた。

「いい加減にしろよ、仙蔵」

しん、と静まり返った教室に、明らかに怒気の籠もった低い声が重苦しく響いた。
全身を怒らせている文次郎に言葉も発することも出来ないほど怯え切っているクラスメート達の中で、唯一何処吹く風、といった様子で飄々としているのは他でもない、当の怒りを向けられている仙蔵である。
仙蔵は窓の外に向けていた目をす、と流し、真正面から文次郎の激しい視線を受け止めると、小馬鹿にするように鼻を鳴らした。

「いい加減、とはどういった基準だ?生憎馬鹿の基準は持ち合わせがなくてな。私にもわかるように具体的かつ簡潔に、百字以内で述べてくれないか、バカ江バカ次郎」
「…てめえ、さっきから好き放題言いやがって!馬鹿はどっちだ、ああ!?」

教室の空気が凍りついた。
肩を怒らせ拳を震わす文次郎は、今にも殴りかからん、といった勢いで怒鳴り散らす。それを物ともせずに、仙蔵は文次郎を涼しい眼で睥睨していた。

「ん、それは今時小学生でも吐かん『馬鹿と言った方が馬鹿』という理屈か?この年になってそんな返ししか出来んとは、いっそ哀れなほど語彙が貧困しているな。なるほど、お前は馬鹿にも値しないようだ。私が悪かった、全世界の馬鹿に謝罪しよう」

その日、新年度を迎えて仕入れたばかりの真新しい机が一つ、大破した。





10.04.20
「俺を信じたお前が馬鹿だったんだよバーカ」「ああそういえば馬鹿にも値しないなお前は」

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