鵺式。
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※仙蔵と雷蔵が♀





翌日の放課後。

「なんか、あの人テンション高くないですか」

やっとのことで再会した双子の片割れは、どうにも逆らえなくなってしまった先輩と夢中になって談笑している。それはもう中睦ましく。かくいう自分と言えば、分厚い隈を拵えた汗臭くて暑苦しい、かの先輩の彼氏と並んで彼女達を遠巻きに眺めるだけ。ちっとも面白くない。

(あれ俺と居るときよりいい笑顔なんじゃないの)

雷蔵が笑うのは素直に嬉しい。嬉しいのだけど、それが自分が引き出したもので、なおかつ自分に向けられたものではないことに不服のある三郎だった。

うらみがましくつぶやいたその呟きを己への問い掛けなのか迷った文次郎は、ちらと三郎を見やるが、すぐに視線をそらす。

「なんですか、言いたいことがあるならいってくださいよ、気持ち悪い」

三郎の嫌味、というか八つ当りにああ答えてよかったのかと思って、しかし文次郎はこれは言っていいものかと思う。しかし言えと言われたからには、隠し立てする必要もないだろう。

「…妹分とげぼく一緒に転がり込んでくるってな、随分喜んでんだ、昨日から」

三郎は突っ伏した。その肩が微かに震えている。
彼が何を思い、何に耐えているのか、想像には難くない。そんな三郎の背中に文次郎はこれからの彼の苦労を思って少しだけ同情し、多少思うところもあって、これまでの禍根は水に流してやることにしたのだった。

しかしこれまでとこれからは別だと、文次郎が思い返すのもそう遠くもないことだった。





10.02.17
双忍がくっつく間に文仙も何かあったらしい

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