三反田数馬

四つ葉のクローバー




最近僕は幸運だ。不運じゃない。ちゃんと挨拶したら返してもらえるし、名前を忘れられることもない。落とし穴に落ちる数も確実に減ったし、バレーボールが当たることもない。それもこれも、先日もらった四つ葉のクローバーのおかげだ。裏裏裏裏山の近くの村へお使いに出た帰り道、山道で倒れていたおじいさんを介抱した時にもらったもので、これをもっていれば幸運になれるよとの言葉に大号泣しながらいただいた。おじいさんがちょっと引いていような気がしたけれどきっと気のせいだと思いたい。

しおりにしたクローバーを眺めながら、日差し暖かい縁側でうふふ、なんて笑っていた時だった。


死角から現れたなにかがぼくのクローバーを奪い取った。
直後聞こえる咀嚼音。

今起きた出来事を理解するのを頭が全力で拒んでいる僕の耳を誰かの声が素通りしていく。


「言われたからやったにしてもこれはどうにも心が痛むな」
「仕方ないでしょー、これのせいで学園がおかしくなってるんだから」
「けどよ、ほら、泣きそうだもん。かわいそうだろ」
「はちがそこまで言うなら別に放っておいてもいいけど」


このクローバーは相手の幸運値を下げて相対的に自分が幸運になるってものなんだ。
最悪、誰か死ぬことになるよ。



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