二ノ坪怪士丸

夢の中のかくれんぼ




これ4つ下の弟の話なんだ。当時、弟は5歳、僕は7歳、兄さんは17歳だった。
兄さんは忍び隊に入ってたから家に帰ってくることはほとんどなかった。
僕はそんな兄さんにあこがれてて毎朝家の周りとかを走ったりしてた。

ある夏の日、早起きすると隣の布団で寝てるはずの弟がいなかった。
ああ、厠に行ってるのかなと思い、気にせず外に出た。そしたら弟が外で寝てた。
ちょっと驚いたけど僕は弟を起こして気にせずマラソンに行った。

それから度々弟がいなくなるようになり、その都度家の中で見つかった。
外はなかったが、机の下、テーブルの下、タンスの陰など隠れるように。

そんなことも忘れてた今年の正月に実家へ帰っていた折、家族で思い出話してる時に母親が言ったんだ。
お前達兄弟は夢遊病の癖があったんだよと。
自分が夢遊病だったなんて覚えてないし、兄さんが夢遊病だったなんて知らなかった。

でも、それで思い出したことがあるんだ。で、兄さんだけに聞いてみた。

「昔、何度も同じ夢見たこと無い?かくれんぼする夢」
「そういえば小学生のころ何回か見たな」
「一緒にかくれんぼしてた子に誘われたことない?」
「一緒に川原に行こうって?行かなかったけど」
「同じだ。僕も断った。最後にその子に言われなかった?」


「じゃいいや。弟と行くから」


その夢を見なくなったのはそのころからだと思う。
そう、今年は弟の三回忌。
十二月の朝、僕がマラソンから帰ると、家にお医者様が来てた。
布団の中で冷たくなってるのを母親が発見したらしい。
弟が同じ夢を見たかは知らない。川原に着いて行ったのか、末っ子だからか。ただの偶然なのか。
これは親には絶対話さない僕と兄さんだけの秘密。



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