斎藤タカ丸

こたつの中




実家に帰っているときこたつでぽ〜っとしてついつい寝てしまった。ふと目が醒めると部屋の明かりのろうそくの火が消え真っ暗になっていた。たぶん父さんが気を使って消してくれたんだと思う。こたつ布団に肩まで入った状態で寝ていたからいい加減出ようかともがくと、すねに何かが当たった。

猫だ。この前父さんが拾ってきてそれからよくこたつの中で丸まっているのをよく見かけた。一撫でして僕はこたつから足を抜いた。

頭をスッキリさせるためにはいった風呂から上がって水を一杯飲む。風呂から出たばかりはさすがに暑いから、こたつには入らなかったけれど後から入る時に冷たいのは嫌なので掘りごたつの下のところに火鉢を置いておいた。

髪の水気を拭き取ってそろそろ寒くなってきたなと思い、こたつに入るとこつんとなにかが足に当たった。猫がいたずらして入っているのかと思った瞬間、はだしの足が氷に包まれたように冷たくなって、足を引きぬこうともがこうとすると、足に鋭い痛みが何度も走る。息が止まるほどの恐怖を感じ、全力で足を引きぬこうとするけど、まったく動かない。

足の痛みが尋常ではなく、冷や汗が背中ににじんだ。足首から先の感覚はなく、痛みはだんだんすねのほうに上がってきている。たまらずこたつ布団を上げて中を覗き込んだ。しかしこたつの中は暗くよく見えない。僕は手を伸ばし手近にあった本を火鉢に投げ入れた。布団を上げようとすると

…目前に青ざめた初老の男の顔が浮いていた。

どう見ても、首から下が無い。男は数秒、僕と目を合わせると急に振りかえった。その時だ、一番恐怖を感じたのは…男の頭はブランと何かからぶら下がっているようで。目を凝らすと、それは腕だった。男の顔は手首の代わりに腕から生えていたのだ。それを見て僕は気を失った。

朝、足を見てみるといくつもの歯型がついていた。猫の背中の毛も食いむしられたように禿げていて可愛そうだった。



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