鶴町伏木蔵
もふ
不運委員会だからだろうか、最近僕はよく転ぶ。乱太郎とか伊作先輩に比べればまだまだかもしれないけれどやっぱり僕も不運の持ち主みたい。膝にできた擦り傷を洗い流しながらちょびっとだけ滲んだ涙を袖でごしごしとこする。伊作先輩がいたらきっと目が傷つくからだめって言われるかもしれないけど、今日だけ。今だけだから許してほしいなあ。
しみてヒリヒリする膝を抱えながら、保健室行かなきゃとは思うんだけどどうにもこうにも歩く気が起きない。膝は痛いし歩けばまた転ぶかもしれない。それにどこか足首のあたりが重いような気もする。さすさすこすってみてもそこになにかあるわけでもなく、だからと言って挫いているわけでもないようだ。
「おや、珍しいのくっつけてるね」
うんうん唸りながら首をかしげていると正面から声。いつのまに来たんだろう。赤茶の不思議な髪の先輩がしゃがみこんで僕の足を見ている。特になにかくっついてるわけでもないのに、なんだろう。
「最近どこか山にはいった?」
「一昨日、委員会の薬草詰みに裏裏山へ」
「ああ、そこで。気に入られちゃったみたいだ」
見た目はかわいいけどあんまり一緒にいるのもよくないからねえ。そう言って僕の足首を何回かごみを払うみたいにして先輩は立ち上がって僕の手をとった。一緒に保健室まで行ってくれるらしい。
「さっき、僕の足に何がついてたんです…?」
「うーん、ふわふわの…ちょっと大きいねずみ、みたいな?赤足って言うんだけど」
「…すっごいスリルー」
ちょっと見てみたかったですって言ったらあれくらいなら見ててもかわいいもんなあですって。また、おいでね。赤足さん。