錫高野与四郎

ワラスッコ




オラんとこの集落には「ワラスッコ」っちゅーもんがよく出るって話があんさ。
まあ、土地柄のもんで、あんまいい話ではないんだけどなー。

今は風魔忍術でなんとかなりたってるんだけども、山奥だしなー、ちょっと前までは貧しかったんさ。
んで、「間引き」っちゅーやつが横行しよった。要するに、子供をよそに売るんさ。でも中には売れない子も居っから、そんな子は家の中の座敷に閉じ込められたり、遠くに捨てられたりすんだ。
実習でちょっと遠出したときさ、その地元のもんが「川に河童が出る」ちゅーて怖がってたけども、あればどう見ても間引かれた子供だべなー。まあ、それはいいさ。

座敷に閉じ込められた子っちゅーのは、まあろくな扱いを受けん。
要するに穀潰しだべ?それはひでーことさって、死んじっちまうことがほとんどだ。
そんな子供が「ワラスッコ」になる。
けども「ワラスッコ」は悪さすんもんでなく、寂しいだけなんで、一緒に遊んでやったりすんと喜んでば礼までしてくれるっちゅー話さ。

調子のいい話だなーとは思うんだけども、オラんとこはその「ワラスッコ」を呼び込むためさ、家さ新しく立てるとき使わん部屋とか、入れない部屋を必ず一つ作る風習があんだ。実際オラんとこにもそういう空き部屋があんしなー。
そこに「ワラスッコ」を住まわせて、礼をしてもらって、その家は栄えんだと。

この話を聞いてなるほどと思ったんだけども、オラんちは時々子供が駆け回る足音や、笑い声が聞こえることがあんさ。別に怖いなんて思ったこたあねーよ?けど話聞いてからはなんかあな。
なんとなしその空き部屋に菓子を置いてやったら、その日の夜は一層元気に走り回っとって、なあんかおかしかったさ。



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