正臣誕生日2 | ナノ


「彼さ、呑気だよね。君もだけど」

臨也さんは頬杖をつきながら溜息をつくようにそう一言告げた。一方の私はグラスに注がれた飲み物をストローで吸いながら臨也さんの口から告げられる言葉をただ受け流すように聞くのみ。正直聞いていたといっても話の内容まで聞き耳は立てていない。相槌を打てる程度にこくこくと頷きながら私は話を受け流していた。私にはあまり興味の引かない話題を持ち込む臨也さんは一人淡々と喋り続けるばかり、グラスの中でカランと氷が揺らぎ響くように鳴る音を聞きながら、注がれていた飲み物を一滴も残さずずずずっと飲み干す。ストローから口を離しはあと息を吐くと臨也さんの視線が此方へ向けられた

「そう言えばさ、彼、そろそろ誕生日なの、知ってる?」

「え、そうなんですか?」

「…やっとこっち向いた」

話を受け流していたせいか視線が逸れていた事に気付いた臨也さんは話題を己が気を引くものへと変えた。やっと向いたとまるで指摘するように告げられればしまったと苦笑をすると、続いて呆れ混じりに臨也さんも苦笑をした

「人の話しくらい、聞くべきだよね」

「ご、ごめんなさい」

「まあ、そんな気にしてないけどさ」

ソファーの背もたれへ体を寄り掛け欠伸をする臨也さんは一息置いて先程の話題の続きを喋り始めた。私と正臣が付き合っていた期間は短かった為、お互いの誕生日なんて知らなかった。だから、誕生日を教えてもらえるなんて素晴らしい機会だ。臨也さんはなんでも知ってるから、私の知らない正臣の誕生日を知っていても不思議ではなかった。正臣の誕生日を告げいきなり立ち上がった臨也さんは私の空になったグラスを手に取り、キッチンへ飲み物を注ぎに行った

「彼のさ、誕生日、祝ってあげなよ」

不意に告げられた言葉は、私には何処か優しげに聞こえた。グラスに新しい氷と飲み物をいれ、戻ってきた臨也さんは返答を待つように軽く首を傾げていた。だから私は笑顔で頷いた

「はい、ドッキリサプライズで祝ってきますね」

すると臨也さんは柔らかい笑みでそうだね、そうすると良いよ、と返事をしてくれた


END

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