欠点と欠落点 | ナノ


※正沙前提の正臨です
臨→正→沙→臨です

普通に上げられるよう頑張って書いた結果、理解不能な話になった
書く前はただ正臣と臨也をにゃんにゃんさせるだけだったのにただの暗いごみ話しになった/(^p^)\
余談ですが、当初予定は沙樹入院→沙樹が入院し始めた頃の二人の話→そのかなり後の二人で裏→正臣臨也好きになる→臨也正臣に飽きる→臨也が沙樹を殺す→正臣絶望で終わりでした

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声も物音も、何一つ聞こえぬ小さめな個室の中は白一点と清潔感が漂うものであった
古い小さな椅子に腰を下ろし大きな窓の前へと髪を茶色へブローチした青年が座っていた
また日が過ぎるのをまるで静かに待つようにして青年は窓の外をただ見つめている
青年の瞳には光にはなく、僅かながら濁ったような感じを漂わせていた
青年の背後には清潔感のある白いベットが置いてあった
ベットには一度茶色へ染めたのか、ややこげ茶の混じっている漆黒を纏ったのショーヘアの少女が横たわっていた
少女と言っても年齢は、青年と同じか下くらいに見えた
少女はまるで死んでしまったようにぴくりともしなかった

「沙…樹…、」

ぼそりと呟いたその声は白い壁に吸い込まれるように消えていった
ぐっと噛み締めた唇からは憎らしさと悔しさが滲み出た
溢れだす涙が情けなく感じたのは事実だ
後悔してもしきれないのは、ただ、自分が情けなかっただけなのかもしれない


*


「彼女、可哀想だよねー」

他人行事の様な口振りで言葉を発する漆黒を纏った二十歳より多少上なのだろうとわかる男は、何度も染められ多少傷んでいる茶色の髪をした青年に視線を向けていた
青年は綺麗に掃除が行き届いている黒い長めなソファーへ気怠げな体を寄り掛けていた
青年は薄く肌色に近い唇を多少震わせ、喋ろうとする様子は窺えなかった
それに対し男は深く溜息を吐く姿は、まるで青年に絶望の意を見せるようであった
男は部屋に光りを照らす大きな窓の目の前に置いてある椅子から立ち上がり、緩慢とした動きで青年に歩み寄る
青年は唇を震わせるばかりで、一切動きを見せることはない

「本当さ、君、何しに来たの?」

動きを見せぬ青年に男は一度足の動きを止め、呆れた様子でそう問い掛けた
青年は震わせていた唇をぐっとまるで血が滲んでしまう程に噛み締め、重く感じていた体をゆらりと立ち上がらせた
その様子を眺める男は、青年の動きを窺うようにしてその場に動きを止め続けていた
青年がゆらりと揺れる体に力を込めつつ足を踏み込めたと思った刹那、勢い良く走り出し男の胸倉を掴み上げた
男は青年より身長が高く、青年は男を見上げる形となったが、青年から向けられる瞳には殺意が籠もっており、今にも男を殺しそうな程でもあった
不意に開けられた口から発せられる言葉は怒声が滲み出ていた

「何でだよ、わかってんのに聞くなよ…っ
返せよ、アンタのせいで崩れてった俺の平穏な日常を返せよ!アンタなんて死ねば良いのに…、
返せよ、返せ返せ返せ返せ返せ…ッ、俺の日常を、かえ、せ、よ…、」

力なくずるずると床へ崩れていった青年を男は先程と一切変わらぬ無表情で見つめていた
青年から男へ浴びせられる叫びは酷く絶望的で、ただ男を責めるだけのものだった
床に蹲り涙を堪え幾度もひっく、ひっく、と喉を引き攣らせる青年を暫く男は眺めるようにしていたが、喉から絞りだされるような声を荒げた青年に男は細めていた双眸を見開いた

「沙樹を返せよ、俺の平穏な日常を…アンタが奪ってた俺の日常を、返せよ…っ!
死んで償えよ…、!」

大きく見開かれた瞳に映るのは絶望に浸り、ただ男を責める青年の姿だけであった
先程まで堪えていた既に大粒の涙となって溢れ始めていた
まるで赤子の様にわんわんと煩い程に泣き始めた青年の瞳には、もう男は映っていなかった

『私ね、臨也さんが好きなの
優しくて格好良くてエスパーで面白くて…沢山あって言いきれない程大好き』

(俺の沙樹を騙して、心を弄んだこいつを殺したい
だけど、こいつを殺したら沙樹が悲しむから俺はこいつを好く事が出来るようにしてみたのに
結局は何も変わらなかったから
何を考えているかわからない、沙樹しか考えられない
沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙樹沙き、さ樹、さき、さきさきさきさき、みかじま、さき…さき、さき…さきさきさき、さき
俺なら、お前を苦しませずに、幸せに出来るのに…)

ただ床に突っ伏して泣き喚く事しか青年には出来ず、嫌悪感しか浮かばぬその空間の空気に男が口を割った
そっと次ぐように青年の傷んだ髪へと手を伸ばし宥めるような手付きで髪を撫でた

「そんなに苦しいなら、彼女と死ねば良いじゃないか」

(やっぱり、こいつの事、殺したい)

衝動に任せ拳を振り上げるもそれは当然の如く男に軽々とかわされた
とめどなく溢れだす涙は止まらなく啜り泣くようにしながら、かわされた衝撃でふらつくように床へ倒れ、己への嫌悪感と弱さに青年は立ち上がる事も出来ず床に敷かれたカーペットを力強く握り唇を噛み締めた


*


元々俺は折原臨也が嫌いだった
出会った時から今まで仲良くなりたいとか仲良くしたいとか、そんなもんは一切思わなかった
今の今まで嫌いとしか思ってなかった
いや、今も嫌いとしか思ってない
あの赤い目も、にやつく口元も、細く繊細は指も、たまに浮かべられる哀しげな顔も、俺の嫌いな全部が凄く憎らしかった
だから、そんな憎らしい奴を何故か犯している自分はもっと嫌いで、情けなかったんだ

「っ…ふ、あぁ…ッ、ん」

己の下でまるで女の様な喘ぎを洩らす男は自ら腰を振り、ただ快楽を求めるように奥へ奥へと己を誘い込んでいく
自分だって童貞ではなかった、回数こそは少ないが基本的な知識は持ち合わせていた
早く終わらないかと己もただひたすら腰を懸命に動かし絶頂を促した
正直折原臨也だからと萎えはしなかった、顔が見えないように自らの双眸を覆うように視界を隠せば後はただ女のような甲高い声を上げる男を犯すだけ
仕上げは感情を出さず、情を移さないようにするだけ
ただそれだけ

ひたすら腰を振るだけで聞こえるのはアイツじゃないような声だけだったから、情を移さない事は簡単だった
だからこそ、アイツを、折原臨也を好きになってしまう事も簡単だった


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