ピ、ピ、ピ
生命を維持する機械の音だけが一定の速さのリズムで聞こえてくる
シャークの魂がカイトに取られてしまった。なんで、どうしてカイトがシャークの魂を奪う必要があるのか。ナンバーズを持っているものだけを狙うのではなかったのか。
(どうして俺じゃなかったんだ、なんでシャークなんだ。なんで!)
鍵はカイトに取られてしまう前、シャークの近くに落ちていた。シャークはカイトから鍵を阻止しようとしてくれていたのかもしれない。
確かに鍵は大事だ。両親の形見であり、アストラルが居るものであるから。
(だけど、それと同じくらいシャークも大切だ)
「シャーク、俺さ、あの鍵がないとかっとべないんだ。あとアストラルって鍵にいる幽霊みたいなやつなんだけどな、アイツも居ないと寂しい」
「だけどシャークが居ないと俺は、寂しくて悲しい、苦しい、楽しくないよ、シャーク」
「巻き込んじまってごめんな、ごめんッ…」
返事が返ってくるわけがないのに、ベッドの上で眠っているシャークに言う。(どうすればいいんだよ、わかんないよアストラル、シャーク)
ぐるぐると腹のあたりで回るカイトを憎む気持ちが増していく。
許さない、いや許せない。どんな理由があるのかはわからない。だけどそれが俺の大事な人たちを巻き込んだり、傷つけていいはずはない。
だけどカイトにも何か大切な理由があるとしたら?そしてなぜ鍵が必要なのか?これはカイトに聞かなければ分からない。もし理由があるならちゃんと話してもらいたい。
(あ、ホルダーが光だした。アストラルが戦っている?誰と?まさかカイト…?)
アストラルが戦っている、きっと大事なものを守るために。今、頑張っているんだ。
「シャーク、俺さアストラルの所に行ってくる。それで一緒にカイトに勝ってくる」
「絶対にお前を元に戻すから、だからもう少し待っててくれ」
(行ってくるなシャーク)