紫原と桃井
「さっちん好きー」
「むっくんはまたそういうこと言って。わたし以外の女の子にむやみに言っちゃダメだからね」
にこりと笑って桃井は言う。一応紫原もうんとは頷くのだが内心もやもやとした感情を押さえきれないでいた。
彼女はわかっていないのだ。自分のこの言葉にどれほどの愛と醜く渦巻いた感情が含まれているのかを。
知られたいわけではない。だって知られたら困る。だけどどうにかこの関係がもっと深いものになったらいいのにと思うのは仕方のないことだと紫原は思った。
「ねえさっちんー、好きだよー」
「仕方ないなあ、むっくんは!わたしも好きだよ」
けれどやっぱり気付かれてはならないのだ。彼女のその言葉がどうしようもなく欲しいから。
無垢な自分を演じよう。この心地よい七人の空間が崩れるその時までは。
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紫桃あんまり書かないし読まないのですが、むっくんがみんなのことも桃井ちゃんのことが大好きだったらいいなという願望と本当はかなり考えたりする人だったら萌えるなという自己満から生まれたお話です。
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