Frozen's thervant 
 -アナ雪エルサ主従夢-




チラチラと揺らめくオーロラ特有の光は、山の麓に抱かれたアレンデール城にも届いていた。
フィヨルドを臨む緑豊かな草地に建つアレンデールの王城は、氷帽を被った山々に周囲を護られて、安らかにまどろんでいる。
山に面した大きなはめ殺しの窓からオーロラの明かりが差し込み床に格子状の影を落とす。
明かりに誘われたのか、窓際の大きな天蓋つきのベッドに寝ていた少女の目が、パチリと開いた。
窓の外に顔を向け、オーロラのダンスを魅入られたように見つめると、ニッコリ微笑む。
とび色の髪と青い目をした女の子は、ベッドから飛び降りつま先立ちになり、窓を挟んだ部屋の反対側まで移動した。
自分のとそっくりなベッドの縁に手をかけて、眠っている姉の耳元にささやきかける。

「エルサ、ねえ」

あどけない小声が、赤毛の頭と一緒にエルサのベッドの向こうからひょっこりと顔を出した。
しかし、ふかふかの枕に美しい金髪の頭を預けた少女は、身じろぎひとつしない。
アナはその身体にはまだ大きな大きなベッドをよじ登り、姉の上にどしっと跨った。

「エルサ!
おきておきておきてよ〜」

いくら身軽な女の子とはいえ、馬乗りになって跳ねられてはたまらない。
アナより3つばかり年上のエルサが、シーツを引っ張り上げながらモゴモゴつぶやいた。

「アナ……まだねてようよ…」

空は白み始めているものの、日はまだ登りきっておらず、部屋はまだまだ薄暗い。
返事を聞いたアナは「はぁっ」とわざとらしくため息をついて、姉の上にごろんと寝ころんだ。
その衝撃で、エルサももう完全に目が冴えてしまったようだ。

「ねてられない!
おそらもおきてるし、あたしもおきてる!
だからあそばなきゃダメ!」

アナ独自の理論は、こうと決まれば一直線だ。
こうなったら簡単には引かないことを知っているエルサは、わざといじわるぶってみた。

「じゃ、ひとりであそべばっ」

そう言ってベッドから押し出してみる。
ダメか。
転がり落ちたアナは、エルサの予想通り次の手をすぐに考えついた。
姉を誘い出す、とっておきの文句がひらめいたのだ。
すかさずベッドに再びよじ登り、狸寝入りを決め込んだエルサのまぶたを押し上げ、目を覗き込んでチェックメイトのひと言を放つ。

「ゆきだるまつくるのはどーお?」

これに応えないエルサなどいない。

アナとエルサは、アレンデール国王アグナルとイドゥナ王妃の娘たちだった。
アナ王女は5歳、エルサ王女は8歳。
3つ違いの姉妹はとても仲が良かった。
妹思いの優しいエルサは、今も「夜中に雪だるまを作りたい」というアナの理不尽な頼みを、むげにできなかった。
本当は、夢の続きを見ていたかったのだが……。

誰もいないがらんとした廊下を、寝間着姿のふたりの少女が小走りに駆けていく。
スリッパをパタパタいわせながら、アナがエルサの手をじれったそうに引っ張った。

「はやくはやくはやくはやく!」

エルサのほうは素足のままだったが、特に寒さは感じないらしい。
それよりも、興奮したアナの出す大声で、城の者が目を覚ましはしないか心配だった。

「しーっ、しーっ!」

必死に咎めるエルサだったが、廊下を曲がったところで城の者とぶつかってしまった。

「っわ!」

全速力で走っていたアナは反動でひっくり返り、
続いて突っ込んだエルサは、バランスを崩していたその相手のもろともすっ転び、その者を下敷きにしてしまった。

「ご、ごめんなさい……って、あ、」

「ヴィルだ!」

ひんやりとした廊下に大の字にひっくり返ったまま、アナが満面の笑顔で名を呼んだ。

「エルサ!アナも、大丈夫?」

ヴィルと呼ばれた子どもは、姉妹が生まれたときからそばにいる、エルサよりもさらに3つだけ年上のお姉さんだ。
国王アグナルの側に仕える警備隊士の娘で、いつも父子揃って城に出勤し、姉妹の遊び相手をよくしてくれている。
アナもエルサも、ヴィルが大好きだった。
困ったときはいつも助けてくれるし、いつもチョコレートを持ち歩き、事あるごとにそれを分けてくれる。
エルサもアナも、3人で食べるチョコレートが大好物だ。
それに、ヴィルはほとんどのことを何でも知っている。
2人を見るヴィルの眼差しは、いつだって暖かい。
ヴィルはエルサの手を引いて立ち上がらせ、アナを抱き起して埃を払った。

「けがはない?」

跪いて、アナの少し乱れた髪を撫でつけながら、エルサに振り返って尋ねる。

「う、うん、へいき」

いつもは優しいヴィルだが、
今回ばかりは寝室から抜け出したことや廊下を走っていたことを咎められるかもと、ばつの悪そうな顔をしたエルサが答えた。

「そんなに急いで、どこへ行こうとしてたの?
まだお日さまものぼってないのに」

ヴィルが落とした本を拾いながらそう聞くと、エルサの口角がヒクッと上がった。
……あれ?でも、まだお日さまものぼってないのに、ヴィルも何をしていたの?

「ヴィルもいこ!はやくはやく!」

無邪気なアナがエルサの手を取り、ヴィルも引っ張りだしたところで、その疑問は置いてきぼりをくらった。

「えっどこへ?なになに?」

戸惑うヴィルだったが、その表情は明るく、何か楽しいことが起きるのだろうとわくわくした顔だった。
ヴィルにぶつかったばかりだというのに、アナは2人を引っ張ってまた全速力で走りだし、目的の誰もいない大広間に辿り着いた。
観音開きの大きくて重い扉をしっかり閉めた。
毎夜のごとく王室主催の華やかな晩餐舞踏会が開かれる大広間も今は人気もなく、
ひんやりしたダンスフロアはふたりの王女様限定、ちびっこ従者と共有する秘密の遊び場だ。
はるか頭上の天窓からオーロラの光が差し込んで、スポットライトよろしく降り注ぐなか3人は互いに向き合った。

「まほうみせて!ね、まほうみせて!」

アナがエルサの手を握ってねだる。
ヴィルも本を部屋の隅に置いて駆け寄り、
エルサがクスクス笑いながら指をこすり合わせ、クルクルと円を描くように手を動かすのをワクワクしながら見ていた。
すると、指のすきまから金平糖のような雪の結晶が吹き出して、くるくると渦を巻きながら雪玉ができあがる。

「うわぁ……!」

アナは嬉々として手を叩いた。
エルサが魔法を使うところを見るのはこれが初めてではないのに、アナは毎回初めて目にしたような感動の声を漏らす。
エルサにはそれが嬉しかった。
手の中で、魔法により出来上がった雪玉はキラキラと輝き、アナの目もヴィルの目も輝かせた。

「いい?」

「「うんうん」」

アナとヴィルが期待の眼差しで雪玉とエルサを見つめる。
エルサがぱっと両手を挙げると、雪玉が花火のように打ちあがり、天井近くなると、氷の結晶がパッと花開いた。
風花のようにキラキラと舞い降りてくる雪を見上げて、アナが喜びの笑い声を上げた。

「うわー!すごいすごい!」

「見ててね」

エルサが屈み、アナと同じ目線の高さに合わせて言った。
トン、と足で床をひと蹴りすると、磨き上げられた木の床が、そこから中心にみるみる氷が張っていく。
つるつると滑る床で、ヴィルは靴のままスケートを楽しんだ。
アナはまだ滑ることができないので、脇の下で支えながら、ゆっくりと押してあげると、また嬉しそうな笑い声を上げる。
ヴィルにリードしてもらいながら大喜びで氷のフロアを滑る幼い妹を、エルサは愛おしそうに見守った。

何故かは知らないが、エルサは生まれつき、雪と氷を操る力を備えていた。
いや、"操る"というのは正しくないかもしれない。
笑ったり泣いたりして感情が昂ると、手のひらから勝手に、雪や氷の粒が吹き出してくるのだ。
エルサの両親、国王夫妻はこのことをひた隠しにした。
アレンデール国民はおろか、廷臣や側近くに仕える召使いにも秘密にし、エルサの不思議な力を知っているのは王と王妃、妹のアナ、
そして最も近くに仕える近衛兵のオーラと、その娘のヴィルだけだった。
幸い、やんちゃなアナとは違い、エルサは次期王位継承者としての立場を弁えてか、年に似合わず分別があり、
自分の特殊能力をむやみにひけらかすようなことはしなかった。
それでも、まだ8歳のエルサ姫は、密かにこう思っていた。
この不思議な力は、妹を楽しませるために神様がくれたんじゃないかしら、と。
この世でたったひとりの大事な妹が、自分の雪と氷の魔法で喜ぶ顔を見て、笑い声を聞くのが、エルサは何よりも好きだった。
アナの笑顔をより一層大きくしてくれるのが、今こうしてアナが転ばないように支えてあげているヴィルだ。
アナの前でお姉さんらしくできるよう、いつも見守ってくれる。必要なら手を差し伸べてくれる。
だからエルサは安心して「お姉さん」ができるのだ。

すっかり雪化粧をほどこされた大広間で、アナとエルサ、ヴィルは一緒に雪だるまを作り始める。
一生懸命雪玉を転がして、それぞれ頭、胴、おしりを作った。
ヴィルはさらに閃いて、こっそりと外から枝と小石を拾ってきて、さらにどこからくすねてきたのか、ニンジンも1本持って帰ってきた。

「これでばっちり」

姉妹が作り上げた雪だるまにそれらをくっつけると、ヴィルとエルサは頷いた。
3人は一歩下がり、自分たちの共同作品をじっくり鑑賞する。
身体がちょっと傾いていて、不格好なのはいなめないものの、なかなかどうして愛嬌がある。
とりわけ、頭のてっぺんから生えた3本の枝毛は傑作だ。
思わず吹き出すと、エルサは雪だるまを"オラフ"と名付けた。
優しく抱きしめてもらうのが大好きな雪だるまだ。

「やあ、ぼくはオラフ!」

エルサが雪だるまの後ろから小枝の手を動かし、ヴィルは鼻をつまんで雪だるまの声真似をした。

「ぎゅーって抱きしめて!」

「だいすきだよ、オラフ!」

アナは大喜びで、オラフと名付けられた雪だるまに抱き着いた――冷たい!
そうか、だからあったかいハグが好きなのね!

「アナ、オラフとスケートしたくない?エルサも!」

ヴィルが膝を折って得意げに尋ねた。
アナは飛び上がって喜び、エルサは疑問符を浮かべた。

「はい、手をにぎって?
エルサはアナも支えてあげてね」

オラフの両手を姉妹それぞれに握らせ、先ほどヴィルがそうしたように、エルサの手をアナの脇の下に回させた。
そうして段取りを整えると、今度はヴィルが魔法を使った。
ヴィルが少し離れて両手を前に出すと、オラフの背中のあたりから風が湧き起こった。
徐々にその風は強くなり、エルサ、アナ、オラフを動かし始めた。

「すごいすごーい!」

ヴィルの突き出した手の周りでは、パリパリッと電気が迸っていた。
アナが転ばない程度の速さに調節して、風の向きを変えたりして部屋中を滑りまわった。

ヴィルは雷の魔法を使うことができる。
エルサと違い、生まれつきではなく3歳になってから使えるようになったのだが、
はじめは静電気から始まり、ヴィルが大きくなるにつれ、その力もはっきりとしたものになっていった。
この力のことを、父親から国王へ相談したことがきっかけで、エルサの魔法の秘密も共有するようになったのだ。
ヴィルもまた分別をつけ、いたずらに濫用したりしない。
雷や電気を使った応用技は多岐に渡り、ヴィルはそのいくつかを意識的に、時に無意識に使用していた。

ひとしきりスケートを楽しんだ次は、アナのリクエストで雪の滑り台だ。
エルサが腕をかざして指揮者のように振るうと、床の上にこんもりとした雪の小山が現われ、滑り台の形になった。
アナは大喜びでキャーキャーいいながら雪山によじ登ると、カーブに沿って、滑ったりのぼったりした。
所どころに段差をつけた滑り台はアナとエルサをぴょこぴょこと跳ねさせ、
ジャンプ台のように反り上がったところから飛び出したアナは、柔らかな雪山へダイブした。

「まって、こっちだよ!」

雪山から飛び上がったアナの足下にエルサが雪の柱を作る。

「いくよ、もっと!」

目の前に足場がないのにどんどんと跳び上がるアナは、跳んだ先に必ず足場ができると信じ切っていた。

「ちょっと、」

そのペースはどんどんと上がっていき、エルサは雪柱を止めるに止められなくなっていた。
もはや前しか見ていないアナには、エルサもヴィルも見えていなかった。

「アナ、止まって!だめだよ!」

ヴィルが雪柱ができていくその下を追いかけながらアナに叫んだ。
エルサはアナを落とすまいと必死に雪柱を作っていったが、その慌てる気持ちが足下を滑らせた。
尻もちをついたエルサが、それでも足場を作ろうと発した魔法は、アナの頭に直撃した。

「アナ!」

かなり高い雪柱から転落するところを、ヴィルが高くジャンプしてキャッチした。
ビリビリと電気を走らせながら着地したところに、エルサも駆け寄った。

「アナ?アナ?」

揺すっても目を覚まさないアナの身体は冷たく、小刻みに震えていた。
魔法の氷が当たったあたりの髪の毛がひと房、エルサの目の前で真っ白に色が抜け落ちた。

「ママ!パパ!」

「……呼んでくるっ」

途方に暮れたエルサが泣き出すのと同時に、ヴィルが駆け出した。
アナを抱えるエルサが悲しめば悲しむほど、部屋の温度は下がり、
氷が壁を伝い、天井からつららが垂れ下がる。
鋭く尖った氷の棘が床から突き出して、あっという間に幼い姉妹を取り囲む。
棘の一つが雪だるまを刺し貫いて、オラフは粉々になった。
あたたかな雪はそこにはもうなく、暗く重たい氷の結晶がどんどんと作られていった。

「これはどういうことだ……エルサ!何があった?」

大広間の扉が開いて、国王夫妻とヴィルが飛び込んできた。
王も王妃もまだ若々しく、エルサとアナが、王妃の優美さを受け継いでいるのが分かる。
氷の林と化した屋内を目にした夫妻は一瞬言葉を失い、その場に立ち尽くした。
幼さゆえに大人より恐怖心の薄いヴィルが駆け込んだ茨の林の中で、エルサがぐったりとしたアナを抱いているのに目が移った。
長女の目に浮かんだ必死の訴えに気づいた王妃が、すぐに我に返った。

「アナ!」

「わざとじゃないの……ごめんねアナ……」

王妃は氷のフロアに足を踏み入れ、触れたら傷を負うであろう氷の棘をよけながら、娘たちのもとへ駆けつけた。
エルサからアナを引き取って抱き上げると、氷のように冷たい。

「氷みたい……あなた、どうしましょう」

国王の方は、目の前の光景にショックを受けたままだった。
長女が特殊な力を持っているのは知っていたものの、それが家族に危害をもたらすとは、今の今まで思いもしなかった。
王室の体面のため身内だけの秘密にはしたものの、実際のところ、たわいもない手品程度にしか考えていなかったのだ。
いずれ成長するとともに自然と消えてくれるかもしれないと、甘い期待を抱いてすらいた。
だがしかし……。

「急いで連れて行かないと」

アグナルには心当たりがあるようだった。
しかし滅多に声を荒げることのない父王が、険しい顔をしている。

「地図を探す。
ヴィル!君の魔法でアナを温めることはできるか?」

凍りついた部屋から子供たちを連れ出しながら、アグナルが振り返った。

「はいっ」

ヴィルが力強く頷いた。
城内の図書室は薄暗かったが、求めるものがここに収蔵されているのを、国王は知っていた。
アレンデール王家代々にわたり受け継がれてきた、何世紀分もの知識がつまった門外不出の本だ。
王は目あての本を見つけると、棚から取り出して素早くページをめくり、必要な項目を開いた。
ページいっぱいにトロールの絵が描かれ、その伝説の生き物の頭上には、オーロラが架かっている。
トロールの前には傷ついた人間が力なく横たわり、オーロラの呪(まじな)いによる治療を受けていた。
王はさらにページをめくって、ボロボロの紙が本に挟まれているのを見つけると、注意深く広げた。
黄ばんだ羊皮紙に記された地図を頭に叩き込む。

アグナルが書斎で目的地までの地図を探す間、ヴィルはアナを毛布に包み、その上からぎゅっと抱きしめた。
漏れ出した電気がピリピリと空気を走りだす。
ヴィルは体内に発生させた電気熱で自身の体温をどんどんと上げていった。

「ヴィル……」

心配そうに眉を下げたエルサが、ぐっと目を閉じ集中するヴィルを覗き込んでいた。

「大丈夫だよ、エルサ。
アナはきっとよくなる」

ぽんぽんと頭に置いたヴィルの手はとても熱かったが、その表情はエルサを少しでも安心させようと微笑みを浮かべていた。

「見つけたぞ。すぐに向かおう」

地図を覚えたアグナルが皆を促し、図書室を後にした。

「王と王妃の馬をもて!」

国王が大声で衛兵に命じると、城門が開き、堂々とした体躯の馬が2頭、姿を現わした。
1頭は毛布にくるまれたアナを抱えたヴィルと女王が、もう1頭にはエルサと国王が跨った。
2頭はフィヨルドに架けられた橋を猛スピードで駆け抜け、アレンデールの町をやり過ごし、
夜明け前の静かな街道の石畳に、蹄の音が響き渡らせて山に通じる道へ急いだ。
エルサと国王が乗る馬が走り抜けたあとには雪道ができあがっていった。

オーロラに照らされた山道を、クリストフとスヴェンが、とぼとぼと歩いていた。
スヴェンはランタンをくわえ、まだ氷を載せたそりを引いている。
麓に向かう途中でアイス・ハーベスターの一行とはぐれてしまった少年とトナカイは、あきらめて山道を引き返しているところだった。
ふと、後方から荒々しい蹄の音がものすごい勢いで迫ってくる。
クリストフはとっさにスヴェンを横抱きにすると、道端に逃げ込んだ。
間一髪、たった今ふたりが占めていた空間を、2組の人馬が駆け抜けていった。
氷の煙を巻き上げ、氷のわだちを残して、2頭はあっという間に見えなくなった。

「氷……?」

彼らの全てである氷を散らして駆けるその姿に興味を惹かれないわけがない。
クリストフとスヴェンは目と目を見交わした。
夜の山道をあんなに急いでどこに行くんだろう?
どうして馬が通った後に、氷の跡ができるんだろう?

「スヴェン、はやく!」

そりを木の陰に隠し、スヴェンに跨った少年は氷の道しるべを頼りにあとを追いかけることにした。



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