月様の子守唄。
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眠れない夜に子守唄を唄う。少年は母の歌声に耳を済ます。夢の中、どこからか聴こえてくるメロディに安堵しながら、羊の数を数える。羊が一匹、羊が二匹。少年はなんだか楽しくなって、羊と手を取り踊り出す。少年と羊はくるくる回る。夢の中、少年は深い眠りにつく。それをみた母はそっとつぶやく。


よるほー。



吟遊詩人が夜を唄う。闇の訪れに、人々は酒場へと集い、朝まで飲み明かす。吟遊詩人は酒場の隅で、人々に寄り添うように音楽を奏でる。ポロン、ポロン。ギターの音色はどこか悲しげで、人々はその音色に酔う。酒場には色々な人が集まるが、その素性を知ることはない。今日もまた、吟遊詩人は夜を唄う。


どこかで旋律が聞こえる中、旅人は森を抜けていた。旅人はもう長いこと旅を続けている。相棒の白い犬が主人のあとを追う。森は深い闇に包まれ、旅人の行方を拒む。微かに聞こえる旋律を頼りに森を抜ける。気がつくと、遠くに村の明かりが見える。旅人は疲れのせいか気を失う。白い犬が虚空に吠える。


少年が羊と手を取りくるくる回っていると、遠くから狼がやって来ました。狼が自慢気に話します。僕は月の宮殿に行ったんだ。へーそれはどんな所?うさぎの王様が住んでいるのさ。うさぎの王様?そうさ、うさぎの王様は月の国を支配しているんだ。空では月が、きらきらと輝いていました。


よるほー。狼が高らかに吠えます。月の宮殿とは一体何なのでしょう。つづきは次回のお楽しみ。


その頃月の宮殿では、王様が悩んでいました。 どうしてこの星はこんなに光るのか。王様、それはこの星が灯台の役割を果たしているからです。それはわかっておる。しかし、こうまで照らされては、私は安心して眠れん。そのためにカーテンがあります。そういう問題ではない。王様は今日も悩みます。


星々が空を飛び回り、彼らが迷子にならないよう、月は灯台の役目を果たしていました。飛び回る星々は、月の明かりを見て安心しながら、夜空を自由に飛び回っていたのです。月は今日も太陽の光に照らされて、黄金に輝きます。それを見てうさぎたちは、月見団子を食べながらお月見をするのでした。


かつて月では、昼の民と夜の民で争いが続いていた。昼の月がいちばんきれいだ!夜の月がいちばんきれいだ!先代の王様は語る。いや、ふつうに考えて夜っしょ。こうして昼の民は去り、夜の民が栄えました。今日も夜のうさぎは下界を見て飛び跳ねます。


うーん。zzz...

少年が寝返りを打つと、突然世界が揺れ始めました。なにごとだ!地面が揺れています!なんだって、ここは月の宮殿だぞ!王様、ただちに避難を!むにゃむにゃ。少年は寝言を言います。それを見た母親は、そっとつぶやきました。


よるほー。


こうして、眠れぬ夜、母親の子守唄は続くのでした。





(あとがき)Twitterであげていた、よるほーの詩をまとめました。ラストは少し追記をしています。


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