の奥、影法師 2
森の奥、少女の行方



たしか、あの日はくもりだった。

父さんと母さんがけんかをしていた。

母さんは私をひっばって、

森までつれてきた。

母さんは言った。




「あんたなんか、いなくなればいいのよ」





私は、恐怖で戦慄した。


母さんはそのまま

どこかへ行ってしまった。

私はひとり、森の入り口へ

取りのこされた。


私は森の方をのぞいた。


一匹のうさぎが手招きして

こちらを見ている。


気になって近寄ると、

うさぎはとびはねて

遠くへ行ってしまう。


私はうさぎに誘われて、

どんどん森の奥へ進む。





私はその日から、

森の中をさ迷うようになった。

来る日も来る日も、

森の中を歩き回った。





森の奥に、

小さな広場があった。

そこには、動物たちと一緒に

遊ぶ、少女の姿があった。



ある日少女は、

森の中で遊んでいる

少年を見かける。


虫取あみを持って、

かぶと虫やくわがたを

捕まえにきたのだろう。


少女はしばらく

人間を見ていなかった。


自分はいつの間にか

真っ黒な姿になっていた。


少女は急に恥ずかしくなった。


たまらず、その場を逃げだした。



しばらくたち、少女は

自分と同じ、黒い影法師の

少年と出会う。


少女はなぜか、

どこかで会ったことが

ある気がした。



少年は訪ねる。



(君はどこからきたの?)




少女はうつむいて答える。






(…私は捨てられたの。)








おわり。


(あとがき)森の奥シリーズ第二話。森の奥、○○という形で毎回サブタイトルが変わります。今回は、第一話に出てきた少女視点のお話です。


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