海列車
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青色の列車に乗って旅を続けている。
行きたい場所は全て巡りたい。
過去も、未来も。
しかしこの列車は時間の移動は許してはくれない。
あくまで場所を移動することだけ。
列車内に売られる飲み物とお弁当を買い、少し長めの旅へ。
揺れている列車の中でうとうとしながらトンネルをくぐる。
暗くなって、空気が冷たくなる。
キーンという音がして、気が付くと、列車が海の中を走る。
窓の外から覗く魚の群れ。泳ぐエイやマンボウ。ウミガメがゆるやかに海中の散歩を。

この列車は、海の中を走りながら、乗客を海底の国へ連れていく。

人魚たちが住む国だ。



人類と人魚が交流を持つようになってしばらく経つ。以前は人前には決して姿を見せず、存在自体が幻だったが、一度網に掛かった人魚が引き揚げられ、その後人類の海底探索技術も発達し、海底に住む知的生命体の存在を認知するようになった。

青い列車はそろそろ海底の国へ到着する。人類は海底への開拓心から、ついには列車まで繋げてしまった。

駅名は『海底の国』駅。魚たちが踊っている。黄色の鮮やかな光景に気を取られながら、海底スーツに身を包む。

宇宙服のような青色のコスチュームに、背中には酸素供給装置を着用している。人魚がそろりと海底の国を泳ぐ。

彼らは食料としてイカやタコを狙う。大王イカを捕らえた日には、しばらく食に困らない。人魚から見て、イカやタコは別の種族であるらしい。エイリアンのようなものだろうか。

時折空腹のシャチが人魚を襲いにくるので、彼らは集団で武装をして戦う。海底にある綺麗な鉱石を拾い、槍の刃物にして、シャチを刺す。彼らは肉が厚いので、目を狙うのがポイントだ。

深海に潜む鉱石は時々発光し、海底のランプになる。なぜ光るのだろう、それは海底に進む列車を照らす。



(あとがき)
どこかで繋がる世界。




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