の奥、影法師
森の奥、影法師




深い深い森の奥、

黒い影法師のような

男の子がいました。


彼はいつも

ドングリと一緒に

踊ったり、


リスと一緒に

唄をうたって

過ごしました。


彼は自分がなぜ

このような黒い姿を

しているのか、


またなぜこんな深い

森の奥に

住んでいるのか、

その理由を

知りませんでした。



ある日、

少年は森の奥で、

自分と似た

黒い

影法師のような

少女

を見かけます。


その日から、

少年は

少女を探して

森の中をさ迷う

ようになりました。



ある時は

ウサギに訪ねますが、

少女の居場所は

分かりません。


ある時は

小鳥に訪ねますが、

少女の居場所は

分かりません。



そしてついに

少年は

少女と出会います。



少年は訊ねます。

(君はどこから来たの?)


少女は悲しい顔で

答えます。


(…私は捨てられたの。)



この広く広く

深い深い森の奥には、

親に捨てられた

子供たちが、


いつしか

影法師となって

さ迷っている

というのです。



(…そっか。)



その日から、

少年は少女と一緒に

過ごすようになります。


ある時は

ドングリと一緒に

踊ったり、


ある時は

ウサギと一緒に

うたったりして

過ごしました。



少女は時々、

ふと寂しそうな顔を

するのでした。


少年は訊ねます。

どうしたの?


少女は

悲しそうな顔をして

話します。


あなたはここにいては

いけないの。


ごめんね。

ありがとう。

さようなら。


……。


だいすき。


……………………。



「君、大丈夫か?」


少年は森の入口で

目覚めます。


大きな男の人が

僕をだきかかえます。


森の奥では

少女がそっと

手を振っていました。





おわり。



(あとがき)童話を書きたいと思い、ゼルダの伝説のスタルキッドをモチーフに、イメージをふくらませながら書いてみました。


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