終わるまでが遠足。
帰るまでが遠足だ。これは僕が遠足から帰るまでの物語である。
僕はクマに出会った。それは大変可愛らしいクマであった。なんと身体が黄色く、赤い服を着ているクマであった。完全にプーさんだった。
僕は著作権におどおどしながらそのクマに近づく。そのクマはプーと鳴いた。ダメだ!銀さんを金さんと呼んでしまうくらいダメだ!
僕はそのクマから必死で逃げる。これは著作権との戦いである。これ以上この物語にこのクマが出てくるのはマズイ。しかしプーさんは必死で追いかけてくる。あ、いけない、プーさんって呼んじゃった!
転げ落ちながら必死で山を下っていると、いつの間にか僕はクラスのみんなとはぐれてしまった。木陰から女の子が覗いている。
「こんにちは私は森の精」
「あなたが落としたのはこの黄色いクマさん?それとも白いクマさん?」
「いや、落としてないです」
ずぶ濡れの黄色いクマさんと、顔面蒼白の白いクマさんが目の前に浮いている。完全に空中浮遊である。重力を無視してクルクル回っている。
「あの」
「なんでしょう」
「降ろしてあげてください」
「なぜ?」
「だってプーさん顔面蒼白だし」
「彼は乗り物酔いなのです」
完全に重力無視のせいだよ。
「いや、とにかく降ろしてあげて」
ずぶ濡れプーさんと蒼白プーさんが空中から降りる。
「ぜえぜえ」
プーさんはなんだか苦しそうだ!
「我が輩は断じてプーさんではない!」
プーさんはいきなり叫んだ。
「我が輩にはビーフ ストロガノフという立派な名前があるのだ!」
うまそうだ。
「服だって赤いマントだし、パンツだって履いておる!」
なるほど確かにパンツを履いている。
「さもなければこれ以上続けられない!この物語は潰されてしまう!」
クマさんが叫んでいる間に女の子は消えていた。僕はクマさんの相手をするのがバカらしくなってその場から立ち去る。しかしクマさんはあとからさっさとついてくる。
「やめて!そんな簡単に飽きないで!」
クマさんの声がこだまする。
僕は平然とクラスのバスに戻り、予想通り遠足を終える。
(あとがき)
お題:ラストは帰り道